異世界に行って転生者を助ける仕事に就きました

ぶらり適当旅

普通に観光

　旅の無事を祈願する神社や仏閣は全国各地にあり、もし旅行などに行く際は立ち寄ってみるのもいいだろう。
　神社でお祈りをしてから京都駅に戻りサヨの案内で電車に乗り込んでいく、少し待てば特急で短時間で到着できるらしいが車窓を楽しみたいので各駅停車で向かうことにする。
　ロングシートタイプの座席に座り込み車内を眺める、通勤ラッシュの時間帯ではないようで人がまばらで外の景色が十分に堪能できる、目的までの駅までは大自然や都会の風景が交互に過ぎていき、さらに途中で大きな川を渡るので見ていてまったく飽きないものになっている。

「ここが目的の場所だよ」
「ここなんだ」
　京都駅から南下して奈良駅に到着した、奈良駅といえば最初にこの世界の日本に来た時になんとなくで京都に行こうとして間違えて奈良に来てしまい、そのまま観光していたらバスジャックに遭遇したためあまり良い印象はない。
「バスジャックとかはもう絶対に起きないよ？」
　少し俯いた自分を除きむように話してくる、もし次があったとしても(もうないだろうが……)サヨがいるのだから問題ないだろう、それにこんな事で怖気づいていてもしょうがない、少し気合いを入れてから駅を出る。
「あら？」
　前回行った時は人が多くて進むことが困難であったが、今回は人が多いものの難なく進んでいけそうだ、しかも今回はサヨが最初からついているのでもう怖くない、ハズ。
　東出口から出てから三条通りを進んでいく、並んでいる商店は京都の街並みで見たようなお店や全国チェーン展開されている店舗もいくつかあり、新旧が混じった不思議な空間になっている。
　また人が前回よりかは少ないので景観を楽しみながら進んでいく、サヨが美人なこともあり周囲の視線が向いてくるので少し緊張してしまう、しかしサヨはそんな事を気にしていないようで自分に寄り添って歩いている、毎回思うのだが体をかなりこちらに預けているのだが特に重さを感じずに歩いているのはどうやっているのだろうか……。
　進んで行くと前世でも有名だった高速で餅つきしているお店があったのでそこでヨモギ餅を買って食べながら歩き出す、前世での日本では食べていないので食べ比べることはできないがきっと同じ味なんだろう、ようはこの餅がちょううめぇ。
　それから観光地で定番のお土産屋を眺めている、やはりこの世界でも木刀には謎の魅力がある、しかし買うのは帰りの時だ、今は我慢しよう。

「ついに到着したよ」
「え……」
　駅から歩いておおよそ３０分ほどで目的の場所に到着した、しかしその大仏は自分が知っているものは違うものだった。