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海洋の底へ

鮫対機械

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「サメ、かな?」
 モニターには巨大なサメのような尖った魚のシルエットが表示されている、相手がタコなどといった海上で遭遇したタイプでなくて本当によかった、動きにくい水中で軟体動物系だと確実に戦えないだろう。

「最適化までもうちょっとまってて」
「いけそうなんだ、頑張るわ」
 サヨが頑張っているようなのでこちらも何とか抵抗を試みる、向こうの攻撃ではこちらの機体を傷つけることはできないようだ、しかし海中では思うように身動きがとれないのでお互いに攻撃が通っていない状態だ。
 故障してもいいように単純な構造の銃で攻撃してみるが届くことなく大した飛距離もでなかったので超至近距離で撃たないと効果はないようだ。
 しかたが無いので短めの剣を振り回すしかない、もちろん当たるわけもない。
 しかし、こうして攻防を繰り返しているおかげで魔物の注意を完全にこちらに引き付けられている。

「いけそう?」
「もうちょっと」
「おう、頑張るわ」
 まだ最適化できないようでぎこちない動きにそろそろ慣れてきている、魔物も同じようでこちらに突っ込んでくる頻度は減っている、お互いに隙を伺っている状態になりつつある、そのおかげで時間は稼げそうだ。

「……いけた!」
 睨み合いになりかけた時にサヨの作業が完了したようだ、それに伴い機体の出力が上がる音が聞こえてくる。
「じゃあいこう」
 海中に最適化できたおかげで水の中をブーストで移動ができるので手足を振って姿勢を何とかする必要もない。

 いきなり動きが変わったおかげで魔物を驚かせることになり、銃口を魔物に接着させる。
「この距離なら減衰は起こらない!」
 何度もトリガーを引き、確実に魔物を仕留める。
「……倒した?」
 魔物はひっくり返り動かなくなった。
「いけたっぽいね」
「さっき言ってた遺跡を調査する人達かな?」
「とりあえず、潜水艦に戻ろう、知らんふりすればやり過ごせるじゃないかな」
 もしかしたらこの機体があの男性の船と同じように差し押さえられる可能性があるのでシラを切りとおす。

 機体を潜水艦に近づけて中に戻る、とりあえず隔壁の中に閉じ込められた体でいることにする。
「おーい、無事かぁ?」
「なんとか2人とも無事ですぅ」
「そっか、じゃあ隔壁を順次開放していくから待っててくれ」
「了解ですぅ」
 どこから声が発生しているか分からないのでなるべく大きな声で答えておく、するとどこからか機械が動く音が聞こえてきたかと思うと近くの隔壁が開き、潜水艦の中心へ向かっていった。
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