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1章 稀代の商人
五十一、防衛作戦(2)
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「現人神アレステより、そなたらに命ずる!
我ら神々の代理人にこれより近付くものは誰であっても許さぬぞ!」
神界への扉が開いた時、私は天獣らにそう告げた。
しかし、天獣の中で最も位の高い白虎が目の前に立ちはだかった。
«グルルル…そこをどけ!元神だったか知らぬが…堕ちた神なぞ恐るものではないわ!»
「くっ…〘守護結界〙
言ったであろう、ここから先は誰も通さぬと!」
«死に損ないの分際で…我らを邪魔するでない!»
白虎が神に攻撃しようとした、その瞬間だった。
後ろから誰かの手が伸び、それを見た白虎がガタガタと震え出した。
「…僕も手を貸すよ、もう君を1人にはさせない。
〘多重封神〙」
«なっ…ゆ、ユグドラシル様!?
なぜその者に手助けなぞ!
その者は穢れた神であるぞ!»
「違う、彼女は僕達の為に身を犠牲に平和を守ってくれた真なる神の1人だ。
そして、この新たなる時代で、現人神となりて神界と下界を繋ぐ存在でもある!
天獣達よ、再び守護なりて癒しの女神アレステの復活だ!
真に神に仕える者ならば、今すぐひれ伏すが良い!」
「ゆ、ユグドラシル…!」
「さぁ、その神格をこの者たちに証明してほしい」
「ええ…改めて、現人神アレステ、この二界に神格を結び、ここに復活したことを証明しようぞ!」
«くっ…か、神々よ!なればこそ、代理者とやらを同じ立場である我らに紹介すべきであるはずだ!»
「…何を勘違いしているのかは分からないが、あの者は神の代理者…つまり、下界に居る限りは、我ら神々と同等の権力を持っているということだ。
ならばこそ何故、お前たち天獣に態々見世物にさせねばならんのだ?」
«くっ…»
「それに、彼にとって、今はとても大事な用を済ませている時間なんだ。
どうか、彼の邪魔をしないでくれ」
神がお願いをした、そのことから白虎を含めた天獣らはそれを聞き入れ、一匹、また一匹と神界へと戻って行った。
「…箱庭であまり気づかなかったけど、まさか…ユーグ君…いやぁ、神界に通ずるくらい力があるとはね…」
「と言うより、依然聖女の時に聞いた話だと…
確か、世界樹から力を貰っているらしいのよ」
「世界樹だって!?
この世界の世界樹は既に枯れているはずだけど…まさか、あの世界に?
いや、だけど…どうやって…」
「うーん…あっ、魔力で再現したとか?
貴方も最初、世界樹を作る時は魔力から作り出したじゃない」
「いや、確かにそうだけど…だからといって、そう易々と作れるものじゃ…いや、待てよ?
もしかしてユーグ君…
あははは!なるほど、そういうことかい…アレステ、彼、あの世界の全ての植物に蓄える器に繋がる道を作り出したんだ。
ほら、僕達が作り出したこの世界にもあるだろう?」
「…まさか、界核?」
界核というのは、世界中の自然力や守護力などを管理している核であり、増えすぎると吸収し、減ると吸収したものから与えて均衡を保つ役割をもったもののことだ。
「そう、多分どこかに無意識の内にそれを作り出したんだと思うよ。
だからこそ、彼にとって魔力は既に無尽蔵なんだ。
…さぁ、あとは頼んだよ。ユーグ君の従者たち」
我ら神々の代理人にこれより近付くものは誰であっても許さぬぞ!」
神界への扉が開いた時、私は天獣らにそう告げた。
しかし、天獣の中で最も位の高い白虎が目の前に立ちはだかった。
«グルルル…そこをどけ!元神だったか知らぬが…堕ちた神なぞ恐るものではないわ!»
「くっ…〘守護結界〙
言ったであろう、ここから先は誰も通さぬと!」
«死に損ないの分際で…我らを邪魔するでない!»
白虎が神に攻撃しようとした、その瞬間だった。
後ろから誰かの手が伸び、それを見た白虎がガタガタと震え出した。
「…僕も手を貸すよ、もう君を1人にはさせない。
〘多重封神〙」
«なっ…ゆ、ユグドラシル様!?
なぜその者に手助けなぞ!
その者は穢れた神であるぞ!»
「違う、彼女は僕達の為に身を犠牲に平和を守ってくれた真なる神の1人だ。
そして、この新たなる時代で、現人神となりて神界と下界を繋ぐ存在でもある!
天獣達よ、再び守護なりて癒しの女神アレステの復活だ!
真に神に仕える者ならば、今すぐひれ伏すが良い!」
「ゆ、ユグドラシル…!」
「さぁ、その神格をこの者たちに証明してほしい」
「ええ…改めて、現人神アレステ、この二界に神格を結び、ここに復活したことを証明しようぞ!」
«くっ…か、神々よ!なればこそ、代理者とやらを同じ立場である我らに紹介すべきであるはずだ!»
「…何を勘違いしているのかは分からないが、あの者は神の代理者…つまり、下界に居る限りは、我ら神々と同等の権力を持っているということだ。
ならばこそ何故、お前たち天獣に態々見世物にさせねばならんのだ?」
«くっ…»
「それに、彼にとって、今はとても大事な用を済ませている時間なんだ。
どうか、彼の邪魔をしないでくれ」
神がお願いをした、そのことから白虎を含めた天獣らはそれを聞き入れ、一匹、また一匹と神界へと戻って行った。
「…箱庭であまり気づかなかったけど、まさか…ユーグ君…いやぁ、神界に通ずるくらい力があるとはね…」
「と言うより、依然聖女の時に聞いた話だと…
確か、世界樹から力を貰っているらしいのよ」
「世界樹だって!?
この世界の世界樹は既に枯れているはずだけど…まさか、あの世界に?
いや、だけど…どうやって…」
「うーん…あっ、魔力で再現したとか?
貴方も最初、世界樹を作る時は魔力から作り出したじゃない」
「いや、確かにそうだけど…だからといって、そう易々と作れるものじゃ…いや、待てよ?
もしかしてユーグ君…
あははは!なるほど、そういうことかい…アレステ、彼、あの世界の全ての植物に蓄える器に繋がる道を作り出したんだ。
ほら、僕達が作り出したこの世界にもあるだろう?」
「…まさか、界核?」
界核というのは、世界中の自然力や守護力などを管理している核であり、増えすぎると吸収し、減ると吸収したものから与えて均衡を保つ役割をもったもののことだ。
「そう、多分どこかに無意識の内にそれを作り出したんだと思うよ。
だからこそ、彼にとって魔力は既に無尽蔵なんだ。
…さぁ、あとは頼んだよ。ユーグ君の従者たち」
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