箱庭の支配人──稀人は異世界で自由を満喫します?

UNKNOWN

文字の大きさ
53 / 98
1章 稀代の商人

五十三、聖杯の代償

しおりを挟む
「…っし!出来た!〘箱庭:防御形態〙」

「相棒、もう良いのか?」

真っ先にこちらへと声をかけてきたのはやはり、ガラハドだった。

「ああ、もう大丈夫。もしかしたらこの能力でまたこういったことがあるかもしれないが…まぁ、当分はないと思うから。
ありがとな、ガラハド。
それに、他のみんなも」

「…おう」

さて…あとは、この魔法陣を各神像に備え付けたら…

「ガラハド、こっちに来てくれ」

「うん?なんだ?」

俺は、ガラハドを神像の前に連れてきて、2つほどガラハドに恩を返した。

「…ガラハド、あー…神像もできたから、ちょっとこのまま…
2人で話したいことあるから…
〘箱庭:広域不干渉〙」

「うおっ…な、なんだこれ…」

「…箱庭の能力で、範囲内に俺ら以外は入れないようにしたんだ。
もちろん、この間は神も中に入れないし、外部からの干渉も出来ない。
だがまぁ、その分負担が少し出てくるんだが…
時間もないし、本題から入るわ。
…ガラハド、お前を…俺の護衛騎士から外す」

「…は?…おい、なんでだよ!」

「…ガラハド、これはお前の為なんだ。
お前のその聖杯の力…一見強いようだが、お前自身が1番分かってるだろ?」

「…」

そう、ガラハドが先程使った聖杯には、代償があった。
彼が受けた代償は、寿命の増加…正確に言えば、特定の条件を満たさない限りは死ねない呪いだ。
聖杯の覚醒と共に、これが発現してしまったのだ。

「…だったら、余計に…」

そう渋るその声に、俺は首を横に振る。

「…聖杯の呪いを解除するのと、聖杯の呪いを増幅させるのは表裏一体の条件なんだ。
その条件は…"主の選定"
完全な主と聖杯が判断すれば呪いは解除されて覚醒した聖杯の力を使える。
だが、不完全な主の為に使うと…お前は、不老不死になってしまう。
だが、主が一定期間居なければ聖杯は力を失い、元に戻る…
俺は不完全な生き物だ。
人を愛する才能はないし、
人に愛されるような性格もしていない…
それに、俺自身生物というのを信用していない。
1度死んだからなのか、これが前世所以のものなのかは分からない。
だがな、ガラハド…こんな不完全な主だったからこそ、お前に最後に恩を返したいんだ。
だから…これは、命令だ。
ガラハド、今日をもって、お前の任を解く──」

俺はそう告げたあと、ガラハドを城へと転送した。

「…あぁ、良い景色だ…この感情を隠すような…素晴らしい夕焼けだな…」

「…人は何故泣くのだと思いますか、主」

「…ドイルか。今はひとりにしてくれ」

「…一人で生きられないからこそ、人は泣き、後悔し、悲しみ、そして誰かを頼る…
確かに、誰かにとっては不完全でしょう。
それこそが人間としての証明であり、最大の弱みとなり得るのですから。
ですが…人間として、聖杯が証明する"完全な主"というのは、
人が何故笑い、何故泣き、何故助けを求め、求められ、救いの手を取り、差し伸べ、誰かを想うのか…
そういったものを理解した人間であるからこそ、
弱みがあるからこそ、貴方のように…誰かのために、誰かの幸せのために自分を犠牲にしようとする。
そんな、人間こそ、"完全"と言える主になるのです。
冷酷なものは不完全です。
圧倒的な強者は不完全です。
何故か?
それは、生物としての感情がないからです。
…主、後悔は幾らでも出来ます。
しかし、人生は1度きりです。
後悔をしても後戻りは出来ませんが、その先の未来は無数に枝を分かち、一分一秒ごとに枝が枯れると同時に無数の蕾を咲かせます。
どうでしょう、私たちの"完全なる主"よ。
たまには…己に従って生きてみるのは」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

処理中です...