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2章 自慢の仲間

七十九、

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『ああ…名前を貰ってから段々変化があってな。今はこんな個性もネェ姿だが…
本来なら、俺なんかは既に男の姿になってんだ』

イフリートはそう言いながら力を溜め込んだかと思うと、突然姿が変わった。

「おお…なんかもう、なんでもありだな。
だがまぁ、その姿の方が俺は好きだな」
『…そ、そうか。まぁ、とにかくそんなわけだから、この島も段々と広がるかもしれんが、そこら辺は他の奴らと相談しながらしようと思ってるから心配しなくていい』
「おう、それじゃあ任せたぞ。
っと、そろそろ次のとこに向かうか…また来る」
『ああ、次来るまでにもっと開拓しておく』
「おう!」

ニカッと笑い別れを告げたあと、今度は現実世界へと向かった。

「さて、と…次は、城に向かわないとな。確か騎士団は、今は副団長が運営しているんだったな。
なら、最初の行き先はそこだな」

俺は飛翔して、騎士団の方へ向かった。

「さてと、こっから探すのはまた時間が掛かりそうだし…ガラハドの力を借りるか。
確か…"魔力探知"」

俺がまだ赤ん坊の頃、常に気配を探るようにして俺の動向に合わせてくれていた魔法のスキルだ。
薄く広げるのがコツらしいが…

「…見つけた」
「…あれ、王太子殿下じゃないですか。
こんな所にどうしたんですか?」
「ああいや、副団長に用があってな」
「副団長ですか?なら、今は確か…」
「ああ大丈夫だ、場所は分かっている」
「そうですか?なら良かったです」

ふぅむ…最近は何かと新人が増えたようだな。
やっぱり、団長…というより、ガラハドが抜けたのがかなり手痛いみたいだな。

「ああ、いたいた。副団長、直接顔を合わせるのははじめてだったか」
「はい、はじめまして王太子殿下。
申し訳ございませんが、忙しくて書類を見ながらなのですが…」
「構わん、アイツの所持品を回収しに来ただけだからな。
全く…こちらに来るなら自分のものくらい回収すれば良いものを」
「アイツ…ひょっとして、ガラハド殿のことですか?」
「ん?ああ、今は一緒に行動してるんでな」
「なるほど…ということは、やはり王太子殿下が相棒に…」
「ま、そういうわけだから、荷物だけ回収させてもらうぞ」
「それなら、既に1箇所に纏めてあります。
いつかこちらに寄る時が来るだろうと思っておりましたが…」
「そうか、ならそっちに行くか…ああ、そうそう。
確か、おまえってまだオーラソードは使えないんだよな?」
「はい、力不足で申し訳ない限りですが」

オーラソードというのは、剣士の最高峰と呼ばれる程の技術で、覇気を肉体、剣に纏わせることで一心同体となる技のことだ。
しかも、この技ならば魔法はもちろん、大抵のものならばあらゆる物が切断出来ると言われている。

「よし、少し剣を構えろ」
「?は、はぁ…」

俺は、彼の背中に手を置いて、体内にある覇気を半強制的に呼び起こし、外に放出した。

「ぐっ…」
「もう少しだけ耐えろよ」
「は、はい…」

オーラソードは、1度体内に核となる形を整えてしまえばその後は自力で使えるようになる。
俺は彼の覇気を1箇所に固め、核が形成されるまで操った。

「ふぅぅ…よし、これで大丈夫だ。一応、暫くは訓練して慣らしていった方が良いが、これでオーラソード自体は発現できるようになった。
 あとは、お前自身がその形を捉えるだけだ」
「…ありがとうございます、何か掴めたような気がします」
「そうか。まぁ、どうしても出来なければ俺のところに来たらいい。
手助けしてやる」
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