37 / 98
第一章[ミリゴ編]
託された想い
しおりを挟む周りの冒険者たちがゴブリンとの交戦を開始した音を聞いてから5分程経った頃、
「ここは……」
俺たちは見覚えのある場所に着いた。
「懐かしいわね」
セリヤが周りを見渡しながらそう言う。
俺たちが着いたのは以前に大蛇と戦った直径十メートル程の円形の場所だった。
そう言えば、俺とセリヤの物語はここから始まったよな......懐かしいぜ。
あの頃の俺はユニークスキル[レベルアップ]を手に入れたばかりの頃で、スライムを倒しまくってたよな。
セリヤもまだまだ未熟だった。
俺たち、実は結構成長したんだな。
俺はそう相変わらず神々しい場所で懐かしんでいると、
「あまりゆっくりしている時間は無さそうだぞ。」
ハチマキを巻いた冒険者がそう言い、俺を現実に引き戻した。
「囲まれたわね......」
セリヤもそう呟く。
囲まれた、だと?
俺は直ぐに周りの茂みを見渡す。
すると、草木の間からいくつもの赤く鋭い光が浮かんでいた。
遂に来やがったか。
俺は無言でハチマキを巻いた冒険者とアイコンタクトを取り、互いに頷く。
それはこれから始まる戦闘を予知させるものだった。
そしてその次の瞬間、
「行くぞ!!」
ハチマキを巻いた冒険者が森に響く声でそう叫んだ。
周りにいる冒険者たちに、交戦を開始した事を知らせる為だ。
すると直ぐに、
「ギャギャギャァァァ!!」
草木の間から赤く鋭い光を浮かばせていたゴブリン達がそう叫びながら一斉に襲いかかって来た。
いきなり来やがったな!
俺はすぐさま杖をゴブリンの方へと向け、
「草木を燃やせ、ファイアボール!!」
飛びかかって来たゴブリンにファイアボールを放つ。
しかし、モンスターの中では賢い部類に入るゴブリンは、そんな単調な攻撃は簡単には当たらない。
ゴブリンは身体を斜めに逸らすと、真っ直ぐ飛んでくるファイアボールを交わした。
「ギャギャァァ!!」
そのゴブリンは俺の攻撃を交わした事で不気味な笑みを浮かべ、勝ちを確信したようにそう叫びながら飛びかかってくる――が、ふっ、甘いな!
この杖はホーミング機能付きだぜ?
俺は不気味な笑みを浮かべて飛びかかって来るゴブリンを嘲笑うように笑みを浮かべ返すと、
杖でファイアボールの動きをコントロールし、ゴブリンの背中に勢い良く直撃させた。
その瞬間、
「ギャギャァァ!?!?」
ゴブリンは凄まじい爆風と共に爆散した。
予想はしていたが、やっぱりゴブリン単体ではそこまで強くないな。
俺はそう爆散したゴブリンを見ながらそう思う。
そう、単体なら。
残念ながら俺たちの周りには数えるのも嫌になる程のゴブリン達が次々と襲いかかって来ていた。
こりゃマジでキリがねぇぜ。俺は額から流れてきた汗を片手で拭った。すると、
「クソッ!」
俺の右側からそう声が聞こえた。
直ぐにそちら側を見ると、
セリヤが数体のゴブリンに囲まれていた。
クッ……!アイツ使い慣れてないお父さんの剣を使ってるせいで、いつも通りの動きが出来てないじゃねぇか!
俺はすぐさま杖を向けると、ファイアボールをセリヤを囲むゴブリンに放とうとする。
しかし、そうする前に、
「はぁぁぁぁ!!」
ローズオーラが拳でセリヤを囲むゴブリン達を殴った。
その瞬間、
「ギャギャァァ!?!?」
ただのパンチからは想像も出来ないような鈍い音が鳴り、
ゴブリンは声を上げながら吹き飛び、地面へと倒れた。
アイツやっぱりめちゃくちゃ強ぇぇ!!魔族は伊達じゃねぇな。
俺はそう今更ながら改めてローズオーラの強さを実感した。
「ありがとうオーラ!」
自分を助けてくれたローズオーラにそう礼を言うセリヤ。
「あぁ!我に任せろ!」
ローズオーラは、そう無邪気な声で返す。
しかし、その声はいつもの様な子供っぽさも含まれながら、とても心強いものだった。
とりあえずセリヤが怪我をしなくて良かったぜ――にしても、数が多すぎるな。
俺は周りにいるゴブリン達を見ながらそう思う。
すると、
「お前らは先に進んでくれ!俺たちは、ここのゴブリンを食い止める!」
ハチマキを巻いた冒険者が、背中に担いでいた大剣でゴブリンを切り飛ばしながらそう言った。って!?そんの無理だろ!?この数のゴブリンをお前らだけで!?
「ダメだ!そんな事したら......お前ら死ぬぞ!」
俺はそう叫ぶ。ハチマキを巻いた冒険者含む俺と一緒に行動していた奴らはそれなりには動ける様だが、お世辞にも強いとは言えなかったからだ。
しかもそれに加えて相手の数は底知れず。
正直、無謀にも程があった。
しかし、ハチマキを巻いた冒険者は、
「俺たちはお前らをゴブリンキングの所まで無事に届ける為にいるんだ!お前らがずっとここに居たら俺たちは本当に無駄死にになっちまうぞ!だから行け!俺たちは強くない分、お前らに託してるんだ!」
そしてそのセリフに続けて、ゴブリンにつけられた傷だらけの顔で笑い、
「ミリゴを救ってくれ!」
そう言った。
このセリフを聞くまで、俺はコイツに何を言われてもここに残って一緒に最後まで戦うつもりだった。
ここで俺たちだけ進んでは、コイツらを見捨てたみたいになると思ったからだ。
……しかし、んな事言われたら行くしかねぇじゃねぇか。
「行くぞセリヤ、オーラ。」
俺は真剣な声で、セリヤとローズオーラにそう言った。
20
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる