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第二章[グーネウム帝国編]
リーダー
しおりを挟む「じゃあ、俺がやっても良いか?」
セリヤの質問に対して、一人の冒険者がそう言った。
「ラーク?お前そんなことに興味あったのか?」
俺は声を上げた冒険者に対してそう言う。なんとリーダーに立候補したのはラークだったのだ。
「あぁ、実は前からしたかったんだよ、リーダーとかそういうの。」
「そうだったのか」
知らなかったぜ、こいつがそんなこと考えてたなんてよ。
「じゃあ、リーダーはラークって事で良いかしら?」
セリヤは俺とラークの会話を聞き終わった後、周りに集まった冒険者にそう言う。
それに対してみんなは、
「俺は良いぜ」「まぁ、誰がやっても変わらないだろうからな」そう、口々に返事をする。しかし、その中に否定的な意見は無かった。
「よし、じゃあ決まりね。」
みんなの意見を確認したセリヤは、そう言うと、
「じゃあリーダー。せっかくだしこの時間に作戦でも立てましょ。」
ラーク、いや、リーダーの方を向きそう言った。って――こいついきなりラークにムズいこと言い出したな……
リーダーって言ってもさっきまで普通の冒険者だったんだぜ?(まぁ今も普通の冒険者だが)いきなりそんな作戦なんて――
「そうだな。じゃあまずはみんなに俺が知ってる限りの漆黒龍の情報を伝える。」
出来るんかい!しかもこいつ、リーダーになってから少し声が渋くなりやがったぞ……
そうしてラークは、みんなに先程見た「グーネウム帝国被害記録」に掲載されていた漆黒龍の情報を伝え始めた。
まぁここは別に書く必要も無いだろう。忘れたやつの為に少し説明すると、漆黒龍ってのは、10年前に突如としてグーネウム帝国近辺に現れたモンスターの事だ。その時の冒険者によると、身体が霧のようで、攻撃が当たらないらしい。まぁ、俺はそんなこと信じてねぇけどな。――と、そろそろラークの説明が終わる頃だな。よし、じゃあ続きを書いてくぞ。
「――と、まぁこんな感じだ。」
ラークは、周りに集まった冒険者たちに漆黒龍の情報を教え終わると、やり遂げた様にふぅ、っと息を吐いた。するとみんなは、「漆黒龍……名前だけは聞いた事があったが、予想以上に強そうなやつだな……」「身体が霧ってどういう事だよ……」そう、口々に意見を言い合い出した。
それに対してラークは、まるで転校生が来て、ざわついているクラスを黙らせる先生の様に、
「静かに!」
一言、強くそう言った。すると一瞬にして、
「……」
冒険者たちは静かになり、全員が無言でラークの言葉を待ち出した。って!?なんだコイツは!?さっきまでは「俺は怖いから協力なんてしねぇぞ!」みたいな感じだった癖に、急にスイッチ入ったじゃねぇか!しかもめちゃくちゃリーダーの素質あるよ!
「な、なぁ……」
「ん?なんだ?テツヤ?」
「お前、リーダー初めてか……?」
完全にこの場のリーダーになったラークに対して、俺は恐る恐るそう聞く。するとラークは、何言ってるんだよと言わんばかりに、
「当たり前だろ?」
そう言った。……やっぱりか、こいつに生まれ持った指揮官の素質があったとは……
「質問はそれだけか?じゃあ早速作戦の説明を始める。」
ラークは、そんな驚く俺を置き去りにして、作戦を説明しだした。
「まず、今回の作戦では二つの集まりに別れてもらう。」
「二つの集まり?ってことは、別行動ってこと?」
セリヤがそう、すぐにラークの説明に口を挟む。
っておい……こういうのはある程度内容を聞いてから質問とかをするもんじゃねぇのか……
「いや、別行動って事じゃない。」
「じゃあどういうことなの?」
「それを今から話すんだ。」
しかし、ラークはそうセリヤを上手くいなし、すぐに説明に戻った。
こいつ……ちゃんとリーダー出来てるじゃねぇかよ。
「まず、どの様に別れるのかだが、今回はテツヤ、セリヤの二人組と、それ以外で別れて行動してもらう。」
俺とセリヤ以外は別行動?どういう事だ?
「なんでこう別れるかと言うと、この二つの集まりはそれぞれ違うことをするからだ。じゃあまずは、テツヤとセリヤの役割を話して行く。」
そう言うとラークは俺とセリヤの方へ身体を向け、話し始めた。
「お前ら二人は、この中ではトップクラスに強い。だから漆黒龍のトドメを刺して欲しいんだ。」
「なるほど、まぁそれは良いんだが――」
そこで俺は口を開き、
「なんで俺たちとそれ以外の冒険者で別れる必要があるんだ?」
最初からずっと不思議に思っていた事を口にした。
だって俺とセリヤがトドメを刺すにしても、わざわざ他の冒険者と別れて行動する必要なんて無いだろ?
すると、それに対してラークは、
「いや、ひとつの固まりで行くと漆黒龍の意識がそこだけに集中するから、攻撃を当てる事は難しいだろ?だからトドメを刺す力が無い俺含むテツヤ、セリヤ以外の冒険者で、漆黒龍の意識を逸らさせるんだ。」
そう説明した。
「なるほど……」
その説明に対して、俺はそうすっかり納得してしまった。だって今の説明に悪いとこなんて無かったからな(まぁ個人の意見だが、)もう俺が口出しする事なんてねぇよ。
「じゃあ、説明に戻るぞ?」
「おう」
「おほん、」俺に対する説明を終えたラークは、そう喉の調子を治すと、再び前を向き、説明を再開した。
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