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第二章[グーネウム帝国編]
巨大な黒い影
しおりを挟む「おほん、」俺に対する説明を終えたラークは、そう喉の調子を治すと、再び前を向き、説明を再開した。
「それで、残りの俺含む冒険者たちだが、とにかく漆黒龍に魔法や攻撃をして、テツヤとセリヤから意識を削ぐんだ。まぁさっきテツヤにした説明を聞いていればだいたい想像はついていたと思うがな。」
ラークがそこまで説明をしたところで、今度はガタイのいい冒険者が手を上げ、
「でもよ、さっきの説明通りにいくと、その漆黒龍ってのは身体が霧なんだろ?攻撃しても意味なんてねぇんじゃねぇのか?」
そう言う。
確かにそれは俺も思っていた事だった。だって本当に身体が霧なら、まず攻撃なんて意味を成さないだろうし、意識を向けることすら出来ないだろうからな。
しかし、それはラークだって当然分かっていることだろう。だからこそ、ラークの言っている事に対して、疑問に思っていた。
すると、それに対してラークは、
「確かに本当に身体が霧なら意味は無いだろう、だが、ここに書いている情報が100パーセント正しいとは言いきれない。だから、まずは手当り次第に攻撃をした方が賢明だと思っている。」
そう言った。するとガタイのいい冒険者は、
「なるほど、じゃあ俺はその言葉を信じて攻撃しようじゃねぇか。」
ちゃんと考えを持っていたラークに安心した様にそう言った。
結構作戦も固まって来たんじゃねぇか?それに、ミリゴの村長とは違って細かく説明してくれるしな。
俺は完全にラークの事をリーダーとして認めていた。
するとその時、ガチャッと勢い良く扉が開き、一人の冒険者が入って来た。
その冒険者はここまで全速力で走って来たのだろう、はぁはぁと荒く息を吐いていた。そして、
「急に漆黒龍が進行方向を変えた!逃げるなら急いだ方が良いぞ!」
そう言った。
やっぱりこの冒険者はさっき受け付けのお姉さんが言ってた偵察係の冒険者か。俺は扉の方を向くと、
「どこにいるんだ?案内してくれ。」
そう言う。しかし、というか当然かも知れないが、まさか自分が偵察に行っている間に漆黒龍を倒すという方向性に切り替えたなんて夢にも思っていなかった偵察係の冒険者は、
「な!?案内だと!?何言ってんだよ!?」
もちろんすっとんきょうな声でそう言ってくる。
だが、こちら側からしても案内してくれないとまず戦うことが出来ない。だから今度は今回の作戦を考えたリーダーであるラークが、
「お前が居ない間に逃げるって選択は消えたんだ。だから頼む、漆黒龍のところまで案内してくれ。」
真剣な声でそう言う。
すると、そのラークの表情と、その周りに集まる俺とセリヤを含めた冒険者たちを見た偵察係の冒険者は、いきなりの急展開に頭をガシガシと荒く掻きむしった後、
「……分かったよ。案内する、着いてこい。」
呆れた様にそう言った。
「ありがとう。」
ラークが偵察係の冒険者にそう感謝を述べる。
「よし、じゃあお前ら!漆黒龍、ぶっ倒そうしゃねぇか!」
俺が後ろを振り返り、拳を上に突き上げてそう言うと、冒険者たちは、
「「「ウォォォォォォッ!!」」」
そう声を上げる。
こうして、俺たちは漆黒龍のところへと、足を進めた。
グーネウム帝国の入り口を出ると、そこには広大な草原が広がっている。入り口方面から見て左手にはグーネウム鉱山、右手には全貌を見れない程大きい森林(アランの事を助けた森も、この森の一部らしい)があるのだが、正面には何も無く本当に自然に出来たのか?と、疑いたくなるくらいだ。
そんな広大な草原に、俺たちは今立っている。理由はもちろん、こちら側へ向かって来ている漆黒龍を倒すためだ。
「本当にここで合ってるのか?」
俺はここまで案内をしてくれた偵察係の冒険者にそう聞く。すると偵察係の冒険者は、
「あぁ、確かにさっき、俺は遠くからこちらへ向かってくる巨大な黒い影を見たんだ。」
そう返してくる。しかし、冒険者ギルドに来た時よりは自信無さげな声だった。
まぁでも、仮にそれが見間違えだったとしても、それに対して俺が文句を言う資格は無いからな、今は真夜中なんだ。漆黒龍も黒いなら見間違えるのも無理は無い。――というか、正直言うと見間違えの方が良い。
そんな恐ろしいモンスターとは、これだけ強くなったとしても、戦うのは怖いからな。
しかし、そんな俺の些細な願いも、儚く消えたみたいだ。
ラークは草原の遥か向こうを指さし、
「あれはまさか……!」
そう声を上げる。
その声に俺たち冒険者は反応し、ラークの指さす方を見る。するとそこには、巨大な黒い影がこちらへ向かって来る姿があった。
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