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第二章[グーネウム帝国編]
ファビラスとの対峙
しおりを挟むメアリーと別れ、そこから俺は長い長い廊下を走り続けた。
すると、5分程経った頃、ようやく廊下の終わりに着く事が出来た。
今、目の前には赤く装飾された大きな扉(というより門に近い)が、目の前にある。
初めにこれを見た時、俺は正直進みたくは無かった。
なぜなら、この扉の先には絶対にヤツが待ち構えているからだ。
だが、
「――迷ってる暇なんかねぇ」
今も俺以外のみんなは戦っている。だから早く王に宣言をさせないと行けない……!
俺は片手を扉につけると、力いっぱい奥に押した。
すると、大きな扉はゆっくりと奥へ押されていき、先にある部屋が見えてくる。
その部屋は、直径15メートル程の円形の形をしており、天井の高さは10メートルくらいの巨大な部屋だった。
まるでラスボスと戦う時の最終決戦場みたいな感じだ。
そしてそこにはやはり――
「お前ひとりか……」
幻影の騎士団のリーダー、ファビラスが居た。
「逆にお前は、俺たちがお前の部下を全員倒してここに来ると思ってたのか?」
俺は扉を完全に開けると、中に入りながらファビラスにそう言葉をぶつける。
「……」
しかし、挑発には乗らないのか、ファビラスは表情ひとつ変えずに俺のセリフを無視した。
――やりにくい野郎だぜこいつは……
前、初めてこいつと正面で話し合った時も思ったが、コイツは正論で他人を言い負かすというより、自分の放つ言葉を正当化するタイプだ。
だから当然、自分の気に食わない言葉や、揚げ足取りには一切答えない。
だが、だからって無理やり武力で解決したいなんて思ってないぜ?――ん?この作戦自体武力を行使している物だろって?まぁそうなんだがな。
さっきまで俺たちと戦っていた幻影の騎士団のヤツらとは違って、今目の前に居るのはその中でトップの地位に居る人間だ。
だからコイツが「戦うな!」と一声言うだけで幻影の騎士団の動きを止めることが出来る。
そして同じ様に、コイツを味方に付ければ、今の作戦よりももっとスムーズに王にノーマルゾーンとプアゾーンの仕切り排除宣言をさせる事が出来るはずだ。
だから俺はコイツとただ力のぶつけ合いをしに来た訳じゃない。初めてリッチゾーンに入り、コイツに意見をぶつけたあの日の続きをしに来たんだよ。
「まぁお前がどう思ってようとお前の勝手だ。」
俺はセリフを無視したファビラスに対してそう言うと、
「そんなことより!俺はあの日の続きをしに来たんだよ!」
力強くそう叫ぶ。
すると、それを聞いたファビラスは、
「――あの日の続き、だと……?」
静かにそう呟く。
「あぁ、あの日の、お前が途中で俺の事を殴ったせいで終わった話し合いの続きをしに来た。」
「ふっ……分からんのか?俺は何を言われてもこの現状を変える気もなければお前らに力を貸す気もない。」
……コイツ、やっぱり前の変わってねぇ。
「お前は思わないのか!自分と同じ人間が今も奴隷の様に扱われていることが良くないと!」
「思わんな。お前はそもそも、何故奴隷が居てはいけないなんて思って居るんだ?」
コイツ、何言ってんだよ。
「理由なんて無いだろ、この世にそんな酷い扱いを受けていい人間なんてひとりもいない!」
「じゃあお前は、この世界の奴隷を全員解放させる気なのか?」
「そ、それは……」
「ほらな?お前のやっている事は所詮綺麗事に過ぎない。」
確かにコイツの言っている事は間違っては居なかった。
まず、世界から奴隷を無くすというのは、戦争を無くす、それと同等かそれ以上に難しい事だ。
そして俺のやっている事は確かに綺麗事なのかも知れない……でもな――
「綺麗事かも知れない……でもよ……俺は助けられる場所に居る人達を見て見ぬふりするなんて出来ねぇんだよ!」
この世界中に転生して来る前、俺はブラック企業で散々雑に扱われてきた。そう、まるで奴隷の様に、だ。
そしてその時俺はこう思ってたよ「クソしょうもない人生だな」って。
だから、あの時の俺のように、そしてそれ以上に悪い扱いを受けている人を助けたいんだ……!
しかし、ファビラスはここまで聞いても尚、
「ふっ……英雄ごっこは辞めた方が良いぞ……?見ていてこっちが恥ずかしい。」
嘲笑うようにそう言った。
……コイツ、やっぱり話して何とかなる様なヤツでは無いか。
俺は右手に持つ杖をゆっくりと上に上げると、
「やっぱりこの手を使わなくちゃ行けねぇんだな……後悔すんなよ?」
杖をファビラスの方に向けながらそう言い、
「大地を潤おせ、ウォーターボールッ!!」
杖から巨大な水の玉を飛ばした。
ここでファイアボールを撃っても良かったが、それだとコイツ、確実に死ぬだろうからな。せめてもの救いって訳だ。
するとそれに対してファビラスは、だるそうに背中から巨大な剣を引き抜くと、
「思ったよりも大した事ないな……」
なんと、俺の放ったウォーターボールを一瞬にして真っ二つにした。
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