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最終回「いつもの旅路に」
しおりを挟む王都での栄誉式典から数日後。
ライゼンたちは、ラシェルの街に戻ってきた。
変わらない喧騒。道端で果物を売る商人。子どもたちの笑い声。そして、冒険者ギルドから聞こえてくる怒号と笑い。
「……なんかさ、本当に戻ってきたって感じだよね」
リィナがそう言って、広場に立ち尽くしたまま深呼吸する。
「こっちの空気の方が、やっぱり落ち着くわ。王都はちょっと、息苦しかったもの」
セリアも同意するように微笑む。
ルークは外から視線をギルドの掲示板に向けた。
「……依頼が、積まれているな。今や俺たちは“守護者”だというのに、全然変わってない」
「だから、いいんだ」
ライゼンが小さく呟く。
「変わらない日々の中で、俺たちは何度だって立ち上がる。その積み重ねが、“意志”になる」
誰に聞かせるでもなく、ただ空に向けた言葉だった。
それでも、リィナが頷く。
「じゃあ、またやっていこっか!いつもの依頼でも、どんな戦いでも――このメンバーなら、絶対負けないもんね!」
「……ええ。あなたがいる限り、私たちも歩ける」
「支援も斬撃も揃ってる。あとは……」
ルークが見たのは、いつも前に立つ男の背中だった。
「剣を振るう覚悟だけ、だな」
ライゼンがギルドの扉を押し開ける。懐かしい喧騒が、彼らを出迎える。
誰かが言った。
「あれ、あいつら……“王都で門を閉じた”っていう……!」
「本物だよ!俺、新聞で見たもん!!」
「うそ、ラシェルに戻ってきてたの!? サイン……いや、依頼お願いしたい!」
喧騒と注目が、押し寄せる。
ライゼンは苦笑して肩をすくめる。
「目立ちすぎだ。……だが、悪くない」
四人はそのまま、掲示板へ向かった。
積まれた依頼の中から、ライゼンが一枚を手に取る。
それは、ごく普通の――魔物退治の依頼。
「……これにするか?」
「え、いいの?すっごい地味なやつだけど」
「依頼の内容は関係ない。俺たちがやる意味があるなら――それでいい。それに――」
「油断は禁物だ。――その気の緩みが命取りになる」
「……っ、!へへ、そうだねっ!」
エルディアの守護者として、世界の命運をかけた者として。
だが今は、ただの一人の冒険者として。
「お前たち、出発か?」
いつもの受け付け、ハイルの声がかかる。
ライゼンは頷いた。
「――ああ。また、いつもの旅路に」
扉が開かれ、陽の光が差し込む。
その先に何が待つかなど、誰にもわからない。
だが――
その背中には、“意志”があった。
そして、仲間がいた。
だからきっと、どこへでも行ける。
冒険は、続いていく。
終わりなき旅の、その一歩を踏み出すように。
「俺は、冒険者だからな」
――これは、かつてのヴァルメルの守護者と仲間たちが刻んだ、世界の“記録”である。
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