37 / 88
第2章1部【中央大陸編】
第35話【まさかの理由〜絶品!ホカホカ料理たち〜】
しおりを挟む「えと、今なんて……?」
「だから、狂乱の戦士という異名を持つ冒険者ならすぐそこに居るじゃないですか」
「って――」
「「えぇ!?!?」」
ちょ、ちょっと待ってくれ!?狂乱の戦士ってまさか、ここまで俺たちを案内してくれてたへんちくりんな関西弁冒険者のレザリオだったのか!?
「ん?なんや?確かにワイは狂乱の戦士とか何とかって呼ばれてるけど。」
「いや、じゃあ普通気づくだろうが!?」
じゃあ逆になんで今の今までコイツは俺たちに気づかなかったんだよ!?色々気づきそうなところはあったぞ!
別の大陸から来たとかある人物に呼ばれたとか!
しかし、どうやら当の本人レザリオは未だによく分かっていなかったらしく、ここでやっと、
「ん?――ってお前らまさか、ワイが呼んだ奴らか!?」
「「そうだってッ!」」
俺たちの正体に気づいたのだった。
いや、ちょっと勘弁してくれよ……って事は今回ずっと一緒に行動するのは――コイツかよ……
---
「いやぁマジですまんかったな!」
「はぁ、もう良いから……」
「お前ら長旅で疲れたやろ?なんか美味いもん作ったるからな!――あ、なんか苦手なもん無いか?」
「無いから大丈夫だ……」
「そこのべっぴん3人組はぁ?」
「大丈夫よ……」「無いぜ……」「大丈夫……」
「了解したッ!」
「はぁ……」
俺は椅子に座って、ため息を吐きながら机に前から倒れ込む。
あれから俺たちはレザリオの家に行き、そして今、半ば無理やりご飯を食べさせられる事になっていた。
いや、腹は減ってるからそれは全然嬉しいんだが――それ以外で疲れ過ぎたぜ……マジで。
---
それから数分後、レザリオは俺たち4人が座るテーブルまでルンルンで食べ物を運んで来た。
「お待ちどうさまやで!さぁ、食べてくれ!」
「――あ、あぁそうするぜ」
と言っても、コイツ見た目的にどう考えても料理とか出来ないだろうから、全然期待はしていないんだが。
俺は身体をテーブルから起こすと、レザリオが運んで来た料理を見る――って!?
「な、なんじゃこりゃ!?」
「ふっ、どや?驚いたか?」
いや、驚いたも何も、これ豪華過ぎだろ!!
すると、そんな俺の声を聞いた他3人も、テーブルの上にある料理を見る。
「す、すごい豪華じゃない!」
「レザリオ、お前料理出来たのか!」
「ピザだピザー!」
そう、なんとテーブルの上に運ばれて来たのは、おそらく直径70センチほどあるであろう大きなピザに、焼きたてなのか湯気が出ているフランスパン、それを付けるクリームシチューなど……
いや、まさかこの世界にこんな食べ物があったとは!
今までラペルじゃ大体が小さなパンと目玉焼きみたいなメニューを永遠と繰り返してたもんだがら、まずこういう食べ物自体が存在しないと思っていたんだが――やはり実在したんだな!
「お、おいレザリオ……もう食べても良いよな?」
「ん?あぁええで」
「よし、じゃあ――」
「「いただきますッ!!」」
俺たち4人は声を合わせてそういうと、すぐに目の前にある豪華な食べ物に食らいついた。
「って、うんめぇぇ!!」
「ほんとに!これはいけるわね!」
「だよな」「うんうん!」
「そうか?そんなに美味いか?」
「あぁ!レザリオ、これだけはマジで尊敬してやるぞ!」
俺は今先程も最初に紹介した巨大なピザを食べているんだが、口に入れた瞬間に口に広がるチーズのコク、そしてそれを下で支えるモチモチっとしたパン生地に、上にかかったバジルソースの風味――と、そんな具合いに最高の味だ。
正直会ったばかりで全てを知った訳では無いが――まさかここまでコイツが料理出来るとはな!
レザリオは俺の横でめちゃくちゃウザいドヤ顔をしながら両手を腰に当てて威張ってるが……この際もうそれにもツッコまん!これはマジで美味いぞ!
(その後、その勢いのままに焼きたてフランスパンやトロトロクリームシチューも食べたが、どれもピザ同様、最高の味だった。)
そしてそこから食べ続けること数分後――
なんと俺たちはあれだけあった料理をあっという間に完食してしまった。
「――いやぁ……マジで美味かったぜ。――うっぷ」
「ね、こんなに美味しい食べ物を食べたのは久しぶりだわ」
「だよな!」「うん!本当に美味しかったよ!」
俺は椅子にもたれ掛かると、食後には必須の「おなかいっぱいゲップ」を連発する。
すると、そんな俺たちをずっとそばで見ていたレザリオは、笑顔で後頭部を擦りながらこう言った。
「いやぁ、まさか完食してまうとはな、これにはワイもニッコリやわ」
「いや、マジでお前料理の才能あるぞ?」
「ん?なんでワイが料理の才能あるんや?」
は?あれ?今俺なんか会話の流れに合わない返答したか?
今の感じだと「そうか?ワイに料理の才能あるんか?」みたいなことを笑いながら返してくるのが普通だと思うんだが。
「いや、だがら、今の料理。レザリオが作ってくれたんだろ?」
「え?違うで?作ったのはキッチンにおる家政婦さんや」
「「はぁ?」」
いや、でもコイツさっき「なんか作ったる」って言ってたじゃねぇか!
「お前、さっき何か作るって――」
「あぁ、あれは家政婦さんが美味いもん作るって意味や」
「紛らわしいなぁおい!」
一体コイツはなんなんだよ……
食事の直後、体力回復したはずが、何故かまた疲れる俺であった。
---
食事を終えた俺たちは早速、何故レザリオが俺たちをこの街に呼んだのかを聞くことにした――――んだが……実はな、今はもうその話を終えた後なんだ。
いや、分かる。この話はどう考えても今回の件でトップクラスに重要なことで、そこを割愛するのはこの物語の語り部である俺にとって有るまじき行為なのだが――実はそれには理由があるんだ。
それは何かと言うと、レザリオが俺たちを呼んだ理由。それがあまりにも単純過ぎたから、という事だ。
まぁ、その単純過ぎる理由に呆れて語る気力も無くなった。ってのもあるが。
それじゃあ発表しよう。
今回俺たちがこの街に呼ばれた理由、それは――――
「なんか気になったから」だ。
うん、今ので終わりだ。
どうだ?ヤバくね?
まぁあのレザリオだからため息だけで済んだが――これじゃあ俺たちほんとに何しに来たか分かんねぇじゃねぇかよ。
全く……この男には呆れちまうぜ。
それに、そんなやつがこの街の中でも最強と謳われてるんだからもっと意味分かんねぇしな。
「はぁ……じゃあ私たちはただあなたが気になったから呼んだだけってこと……?」
「そうやな」
「何か一緒にモンスターを討伐しようとかも無く?」
「ないな」
ほら、さっきからこんな調子なんだ……呆れちまうだろ?
だから俺はそこで、思い切ってこう聞いた。
「じゃあ何か俺たちがこの街で出来そうな事は無いのかよ?」
正直、このまますぐにラペルへ戻っても良いが――せっかく来たんだし、(本来は来るのに金が掛かるからなんか勿体ないしな)何かしたかった。
それに――エスタリにも約束しちまったしな、土産話をしてやるって。
このまま帰ったらまたエスタリにからかわれちまうぜ。
すると、そんな俺のセリフを聞いたレザリオは腕を組んで少々考えた後、ふと何かを思い出した様に「せや、そう言えば――」そう言い、そしてこう続けた。
「ひとつだけあるで、帝都ティルトルの――いや、冒険者たちの祭りがな。」
0
あなたにおすすめの小説
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~
ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」
魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。
本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。
ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。
スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる