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第四章 言い掛かりを止めるには?
#09:移動の謎
しおりを挟む「では、求宮さん。近江さんのお店から出られたあとで、マンションに戻られたところから覚えている範囲で良いので話してください」
「えっとマンションに着いて入ろうとしたときです。一瞬のことで顔は見えなくて、頭に激痛が走って気絶したというか気付いたら全然違う場所にいました」
「拉致される直前、頭部を殴打されたんですよね?」
「はい。マンション前で呼びかけられて、振り返ったときには殴られてて」
「殴打されるとき、凶器は見えましたか?」
「あー、えっと…いえ何も見えませんでしたね。一瞬のことだったので。正確にはよく覚えていないんですけど。地面に倒れて直ぐ気絶したみたいで。てか。そもそも、どうやって他の場所に行ったのか分からないんです」
「なるほど」
「あの人、女性だったのに…よく俺を連れていけたなぁとは不思議に思いましたけど」
犯人は、間違いなく女性だ。手足も細くて身長も低かった。力持ちには見えなかったが。
「こちらでマンションのロビーに取り付けられている防犯カメラをチェックしました」
志多刑事の一歩後ろにいる寺園刑事が喋った。
「防犯カメラですか」
「ええ。ハッキリと、求宮さんが殴られて倒れる瞬間が映っていました。地面に倒れたあなたを、殴打した女性は一旦その場から離れるとスチール製の台車を持ってこられました。よく荷物の配送するときとかに使うような台車ですね」
寺園刑事は、拳を作り押し出すように手振りで伝える。業者が使う台車に、倒れた俺を犯人の女が載せて運んだようだ。
「俺は荷物扱いかよ」
今度は志多刑事が口を開いた。
「あなたを台車に載せたあと、カバーのようなものを被せていました。あなたをガラガラと運ぶ姿が町の中にある防カメには映っていたことも確認しています」
「じゃ、じゃあ俺の発見は早かったんですね!」
「いいえ。通報は、その時間ありませんでした。台車に載せてカバーをしてても、結構カタチ的には不自然でしたが人だと確認できるようなハミ出ている様子はなく、通報する人もいなかったようです。多少目立ちはしますが、まぁ発見が遅ければ危ないところではありましたね」
淡々と志多刑事は語っているが、怖い話を聞いているようで恐ろしくなった。
移動中の俺を見つけた人はいなかったのだ。背中に冷や汗のようなものが流れるのを感じた。
「ところで、彼女と面識はありましたか?」
志多刑事から質問が飛んで来た。彼女というのは、俺を殴って拉致した犯人のことだろう。
俺は激しく首を振った。
「いえまったく。全然ないですね。あ、でも…灘広のチャンネルのリスナーだということは直ぐに分かりましたけど」
俺のことを襲った女は、明らかに配信を恨んでいた。
「直ぐに分かったということは、どうしてですか?」
寺園刑事が間髪入れずに突っ込んで俺に訊ねてきた。
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