75 / 114
第四章 言い掛かりを止めるには?
#08:二人の訪問客
しおりを挟む「失礼します」
一人は女の声、続いて男の声がした。
男女のペアが俺の病室に入って来たが、女は30代後半か40代くらい、男は20代から30代くらいにみえる若い人だ。
赤い革のジャケットに黒いスカートのキャリアウーマンと、首元まで締めたスーツ姿のいかにもサラリーマンみたいなペアだから、どこかの企業に所属する会社員にみえた。
少なくとも、俺の知り合いじゃないことは確かである。
「えっと、誰ですか?」
男女共に、ほぼ同時に、ジャケットの内側から黒い革のようなものを取り出した。警察手帳だ。
「お目覚めになられて良かったです。私は西東京署の捜査一課、志多です。彼は寺園」
女性の方が階級も上なのだろうか。後方にいる寺園という男を、さっと紹介した。
「まじ! 刑事さん!」
てっきり制服姿の警察官が来るのかと思ったが、私服の警察官だったとは。ドラマの中でしか見ない人たちと、実際に会うことになるなんて。
「病院からご連絡いただきまして急いで伺いに来ました。お目覚めになられたばかりで大変恐縮ですが、お聞きしたいことがあります。是非とも、ご協力いただけませんでしょうか?」
志多と名乗った女刑事の口調は丁寧だが、真っすぐに見つめる眼光は強い。事件の経緯を早く尋ねたいのだろう。
「あ…俺いま入院中で警察署には行けないんですけど」
「ここで構いません。お体の調子が悪ければ後日改めます。お話を伺う途中で、ご気分が悪くなりましたら直ぐ取り止めますので」
「あー。それじゃあ、ここでお願いします。えっと、あと…」
俺は、チラッと先輩をみた。見舞い客もいるが一緒に居ても良いのか判断に迷ったのだ。
「あ、近江さんにも、ここで聞いてもらって構いません」
え。いいの!? てか、先輩の名前知ってるのかよ!
「あ、そうですか…分かりました。じゃあ、すいませんけど先輩もここに居て貰えますか?」
「ああ、いるよ」
女性刑事が咳払いをした。すると志多刑事の後ろで、寺園刑事がジャケットの内側から細長い機械のようなものを取り出した。
俺の視線に気づいたのか、寺園が手に握っている物を少し掲げて軽く振った。
「あ、これはボイスレコーダーです。署で文書化しますので、申し訳ありませんが録音させてください」
彼は、ベッドの傍らにあるテーブル上に機械を置いた。
「わ、わかりました」
「では失礼かに聞こえますが、まずはお名前と年齢を伺ってもよろしいでしょうか?」
まさか本名や歳から聞かれるとは思わなかった。
21
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
僕の恋人は、超イケメン!!
刃
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
雪解けを待つ森で ―スヴェル森の鎮魂歌(レクイエム)―
なの
BL
百年に一度、森の魔物へ生贄を捧げる村。
その年の供物に選ばれたのは、誰にも必要とされなかった孤児のアシェルだった。
死を覚悟して踏み入れた森の奥で、彼は古の守護者である獣人・ヴァルと出会う。
かつて人に裏切られ、心を閉ざしたヴァル。
そして、孤独だったアシェル。
凍てつく森での暮らしは、二人の運命を少しずつ溶かしていく。
だが、古い呪いは再び動き出し、燃え盛る炎が森と二人を飲み込もうとしていた。
生贄の少年と孤独な獣が紡ぐ、絶望の果てにある再生と愛のファンタジー
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる