配信の果て

ほわとじゅら

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不穏なスタート

ドキドキとワクワク

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 通話に出ると、準備ができたので確認をしてほしいと言われた。来社している次いでに内線をくれた人物に直接挨拶をしたいと申し出て、俺は調整室と掲げるフロアにやってきた。

「失礼します」

 出入り口に入り、目の前のデカいキャビネットの横から顔を突き出すように、調整室の部屋の中を覗いた。マネージャーほどの人数はいないが、数十名が黙々と仕事を進めているようだった。

 まったく顔が見えない。他のフロアと明らかに違うのは、ひと席ごとに間仕切りされた高めなパーテーションが設けられている。出入り口に立つ俺の今いる場所からでは、辛うじて見えるのは従業員の頭頂部とうちょうぶらしき頭の先しかみえないのだ。

「誰が遠藤さん、なのかな?」

 先ほど内線で連絡を貰った人物が、どの席にいるのか分からないので覗きに行けば良いのだが、間仕切りがあるのは開発中の画面をみている可能性がある。入ったばかりとはいえ、まだ見ず知らずの人間が無暗に覗くのはマナーに欠けるだろう。

 デリカシーのない外部の出向社員がマネージャーとして出入りしていると白い目で見られるのもしゃくだ。

「しゃーない。ここは、貰った内線を折り返して呼び出すか」

 ジャケットの内側から携帯電話を取りだした瞬間だ。

「あの、二川さんですか?」

 真後ろから声を掛けられて振り返ると、小柄な女性が俺を見上げていた。長いストレートヘヤーが綺麗な女性だが、眼鏡が大きくて、強めなレンズなのか少し瞳が大きくみえた。

「はい。この声もしかして遠藤さんですか?」

 彼女は深く頷いた。

「わざわざお越しいただいてすみません。メールに画像を添付してご確認いただければと思ったのですが」

「今日は初めてのマネージャー会議でしたから仕事で関わる方には事前に直接ご挨拶に伺いたいと思いまして。本来は、配信者本人も来社予定だったんですが直前でインフルになりまして」

「まぁ、それは大変ですね。お体ご自愛くださいとお伝えください」

「ありがとうございます。それより、安毛の2Dキャラが完成したと聞いたのですが、実際に見せていただいても構わないでしょうか?」

 サンライブの配信で、豊かに軽やかに躍動やくどうする配信者の“立ち絵”だ。俺の描いた綿毛は、ここでは継続して使われるのか気になるところである。もし綿毛キャラでなくなるのなら、多少はショックを受けるだろうが戦略的パートナーという期間中だけの登場となるなら、案外すっと受け入れられるかもしれない。

 ちょっとドキドキとワクワクを感じる。

「構いませんよ。むしろ可動した際の動きもみていただいて、変だなと思われましたらご指摘してくださって構いません」

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