配信の果て

ほわとじゅら

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はじめまして

モヤモヤ

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「あは。普段はいつも少し派手めな制服を着ていますから気付かれないかもしれませんわね。改めて初めまして。私、いつも綺麗だなって見てました。まさか休日にお会いできるなんてびっくりしてます。あ、すみません。プライベートな時間に。こちらは御堂さんの彼氏さんですかぁ?」

 覗き込むように小田原しずかは、腰を深く曲げて岸光牙と目線を合わせるようにじっと見る。

 急に現れた女性に面を喰らったのか、彼は目を大きく見開いてぎょっとした顔で彼女を見た。若干、体が後ろに引いている。本気でドン引きしている様子だった。

「いえ。彼氏ではありませんよ」

 もう話すことはないと思い、私はソファ席から立ち上がった。鞄を持ち足早に席を離れた。

 封筒はテーブル上に置いてきた。手を伸ばすことなく。決別なのだ。飲み物は要らないのに彼が勝手に注文したから支払う気も起きなかった。

 店を出たとき、急にくらりと視界が歪んで頭が重たくなるのを感じた。

「…え、なに」

 立っていられず店先でしゃがみ込んだ瞬間、後ろから声を掛けられた。

「大丈夫ですか!」

 先ほどの女性だ。小田原しずかが心配そうに私を見つめる。言葉を返したいが、思うように体が動かないもどかしさを感じた。

「私に捕まってください。家まで送ります! 気をしっかり持って!」

 先ほどの甘い声で彼氏かと聞いてきたのに、今度は真剣な表情で心配する声で言葉を掛けられた。二面性を感じるような気もしたが、今は何かを考える余裕がなかった。

「しっかりしてください! 御堂さん!」

 もう目を開けていられなかった。彼女の声が遠くなり、気が付いたときには朝を迎えていた。

 それが今。

「そうだ。私、彼女に家まで送られたん、だっけ。え、でも住所言ったっけ?」

 受付嬢だからこそ従業員の住所を調べるなんて簡単なことだろうか。それとも私が口にしたけど記憶がないだけだろうか。

 マンションの郵便ポストに行くと、確かに封筒があった。少し膨らんでいて、中を開けると家の鍵だった。

 しかし何かモヤモヤするのを感じた。日曜日は朝から日が落ちるまで疑似デートをしたけれど、店を出たあとに急激に眠たくなるほど疲れが出たというのだろうか。

 タイミング良く受付嬢が現れたのも少し引っ掛かりを感じた。

「明日、会社に行ったら聞いた方が良いかな?」

 そう心に決めた矢先、その日の夜、彼女はやってきた。

 体調はどうか、という気遣いで受付の仕事を退社後に小田原しずかは私の家の玄関先に立っていた。

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