戦国武将とトリップ少女

月夜

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第十三章 終幕

明智光秀ー終幕ー

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「それが君の答えなんだね」

「うん。私はこの世界に残ることを選ぶよ」

「それが君の選んだ選択なら、僕は止めたりしないよ。行っておいで、君の選んだら武将の元へ」

「今までありがとう、刻」



 私は刻に背を向け広間へと向かった。



「君と出会って、君と話して、僕も君に惹かれていた一人だったのかもしれないな……」



 私がいなくなった部屋で、刻が切なげに呟いた言葉は、刻と共に消えてしまった。


 そのころ私は広間へと向かうと、その人は部屋へ戻ったと聞き、その人の自室へと向かった。



「加賀です。少しお話よろしいでしょうか」

「どうぞ」



 いつもの艶っぽい声音が襖越しに聞こえ部屋の中へと入ると、光秀さんの前へと座った。

 光秀さんの艶っぽい瞳を見ると、言葉がでなってしまう。



「そんなに見詰めてどうかした?」

「あっ、えっと……」



 返事を伝えに来たはずが、頭が真っ白になり顔を伏せてしまうと、光秀さんが口を開いた。



「俺にとってのお嬢さんは特別な存在なんだ。今までよってくる女人は沢山いたが、俺のことを知りたいと言う人は一人もいなかった。俺はお嬢さんを一人の女人として大切にしたい、この気持ちは変わらないよ」

「光秀さん……」



 そうだ、私はこの想いに応えるためにここへ来たんだ。

 私は伏せていた顔を上げ、真っ直ぐに光秀さんの瞳を見詰めると、私の想いを口にした。



「私にとっても光秀さんは特別な存在です」

「それを答えだと受け取っていいのかな?」

「はい」



 頬に熱が宿るのを感じ、顔を伏せたくなってしまうけど、私の想いを真っ直ぐに伝えたいから、私は瞳を逸らすことなく真っ直ぐに見詰め返事をした。



「お嬢さんから返事を聞いて、嬉しい気持ちで一杯になる。こんな気持ちは初めてだ」



 光秀さんの頬はほんのりと色付き、こんな表情を浮かべる光秀さんを見るのは初めてだった。

 これからも続く尾張での生活で、光秀さんのいろんな姿がこれからもきっと見れる。

 そう考えると、自然と笑みが溢れてしまう。


ー終幕ー
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