しなずち ~転生触手妖怪 異世界侵略風味、褐色爆乳女神と現地収穫の巫女衆を添えて~

花祭 真夏

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第117話 ご協力をお願い致します。ちなみに拒否権はありません。

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「これが侵攻側主戦力のシムナとアンジェラの基本スペック。加えて夜巫女二番頭リタ、朱巫女三番頭ベレッタ、死巫女三番頭ダフネを筆頭に夜朱死の過激派巫女達の技能と能力の一覧」

「これをしなずち様、私、ヒュレインとリザで制圧したいんだけど、どうかな?」

「無理難題を吹っ掛けるにしてももっとマシなのを寄越せっ。こんな連中、光徒と闇徒を全員纏めて集めてどうにかって所だぞ? 真正面から当たれるのだって、アンクリストとレッディンとガザヴァクトくらいだっ」


 ケイズを簀巻きにして大樹の枝に吊るし、リストを掲げて見せたら厳しく吐き捨てられた。

 戦技の勇者シムナ、極光槍アンジェラを筆頭に、マヌエル山脈南北の勇者と英雄、勇者候補、英雄候補、魔狩人に傭兵に暗殺者等々が名を連ねている。

 人数にすると百数十人ほどで、全員が全員、それなりに名の通った実力者ばかりだ。

 私に負けて巫女に堕ちたとはいえ、私の愛と祝福を糧に力と技を磨いてきた。以前に比べて一段階か二段階上の領域に達していて、特に相性が良かった者達は勇者の更に上へと至っている。

 具体的に言うと、眷属にした巫女達、エリス、アンジェラ、ガルマスアルマ。

 ただ、ユーリカとエリスを筆頭とした黒巫女衆は、どちらかというと穏健派に属する。

 私の後ろを狙う事はせず、今回の馬鹿騒ぎには参加していない。ガルマスアルマも死巫女二番頭の地位にありながら一番頭のレスティを抑えていて、さっき神術で念話したら派手に得物の大鎖を振り回しているようだった。

 やはり、直接の追っ手はシムナとアンジェラになるだろう。

 ラスティは漁夫の利狙いで傍観を決め込み、シムカは血巫女衆を纏めて社の後始末をしてくれている。ヴィディアは巫女になって日が浅すぎる為に動きが読めず、あとやばそうなのはカラとカルの白狐姉妹。

 誰を味方につけて誰を制するか。

 いや、そもそも戦争中なのに内紛起こしてどうするんだ、私はっ。


「理想は短期決戦で全員無傷か軽傷程度。自由に使える予算と資源は大体こんな感じね」

「おい、こらっ! うちの国家予算の軽く十倍とかどうやって稼いだ!? いくら蛇神で金運に恵まれているからっておかしいだろ!?」

「どんな世界でも性と薬は金になるんだよ。南征の時に商業都市ディーフで元老院の隠し財産を頂いたし、ニース商会とテュラック商会を介して、ブラックマーケットで媚薬とか洗脳薬とかのシンジケートも作った。各地の娼館組合も裏では私の傘下だし、クズ貴族にハニートラップしかけて荒稼ぎもしたっけ」

「道理でドガ以外の管轄域が手遅れになっているわけだっ! 女戦王国と蛮国はコロシアムと麻薬と性産業で成り立っているからな! 他国からの新参はそう簡単に参入できん!」

「そこは今、社でドガを捕獲してるから後で頑張る。嫌って言ったら言っただけアヘ顔晒してもらって、心から素直になるまで時忘れの牢獄で大歓迎するよ」


 属神のリエラも手伝ってくれるって、水脈を移動中に連絡を貰ったし?

 ドガの全部の二番目を貰いたいだなんて、素晴らしくレズレズしくってすぐ了承した。二回か三回満足させたら二人とも巻いて縛って合わせて頂いて、マタタキみたいに私の中で飼うのも良いかもしれない。

 ほんと、Sっ気が薄い娘は好きに出来て良いよね。


「そういえば、女戦王国もドガの管轄域なのか?」

「ドガ自身が元々、アマゾネスからの成り上がりだ。奴隷闘士として蛮国のコロシアムで最年少優勝した所を、アルセアの奴が召し上げたんだ」

「『好きな事を好きなだけやろう。後は知らない』が教義だっけ? 幼い頃から常識のない生活をしてたから、思考が色々と振り切ってるのよね。女戦王のトルミア・ヘグズレイダーを尖兵にして世界中遊び歩いたり、育みの女神リエラと姉妹杯を交わしたり、歴代の勇王ので張り型を作る為に勇国に攻め入ったり」

「あ、それ面白そう。ドルトマとヴァテアのも作って、ブラックマーケットのオークションに出したらいくらになるかな?」

「友情が壊れるからやめなさい」

「えぇ~…………?」


 三人とも人気者だから、千セット作ってもすぐ完売しそうなのに…………ん? 夜巫女衆と黒巫女衆の諜報活動中に、各地で売り捌かせれば浸透戦術の足しにならないか?

 西はドルトマとヴァテア、北はヴァテアとガルドーン、東はガルドーンとドルトマの知名度が高い。

 そこにプラスアルファでグアレスを加えて並べれば、周囲の目を気にしながら世の娘さん方がお買い上げになるかも?

 金額は……金貨一枚と銀貨六枚の所を、特別価格で金貨一枚の大放出!

 売れる。きっと売れる。

 そうと決まれば、三人の型取りを奥さん達にさせて納めてもらおう。対価は本物を一回り大きくする薬にして、張り型ユーザーに対して優越を持たせる。

 型はカルアンド帝国の学術研究院に送って、良い感じにあれやこれや盛って――――オルドアのも確か結構えぐかったような……?

 楽しい。何だかすごく楽しくなってきた。


「アシィナ。コイツに本当に手を貸していいのか?」

「渡界してすぐの頃は極貧生活だったらしくて、意外と金儲けにご執心なのよね…………シムナや初期の血巫女達は、食事がしなずち様の血肉だった事もあったらしいし、それに――――」

「ちょっと待て」


 急に真面目な顔で、ケイズはアシィナの言葉を遮った。

 表情から深刻さが滲んでいる。汗の匂いにも緊張が混じり、うっすらとではあるが恐怖まで含まれていた。

 一体、何に対してそんな脅威を感じている?


「何?」

「コレの血肉を摂取した人間がいるのか? しかも、神になる前の物を相当量」

「私達眷属も似たような物よ? たっぷり体液を注がれて身体を書き換えられて、殆ど原型を留めてない。私もほら、ね?」

「そういう事じゃないっ! 結果的にと言っても『神を喰らった』者がいるのか!? よりによって再編戦争中に『神喰い』がいるというのか!?」

「『神喰い』?」


 聞き慣れない、それでいて意味がしっかり分かる言霊に魂が震える。

 怖気というか不安というか、言い知れぬ何かが首の後ろを這い回る。ぞわぞわざわざわ、訴えかけるではなく嘲笑うような蠢き方だ。

 そっと、最初期の血巫女四名の様子を羽衣越しに確認する。

 社にいるシムカは問題ない。シムナとアンジェラに後で説教だと愚痴を溢しているくらい。身体的、精神的な影響は見られない。

 カロステン王国の相談役である堕天使ネスエルは、私への供物の選定に忙しくしている。スラムの子達を彼女が経営する大浴場に招き入れ、身体を洗うふりをして品定めをしていた。特におかしい所はない。

 残る二人は――――?


「あれ?」


 なんで二人の羽衣の視界に、私の背中が映ってるの?
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