世界樹の管理人

浅間遊歩

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第1章 初めての旅

仕事の斡旋?

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「面接?」
「そう。条件が合えば住み込みで働くことになる。仕事自体はそれほど体力を必要としないから、まだ若い君でも合格するかもしれない。もちろん、面接会場までの旅費はこちら持ちだ。不合格や仕事を断った場合でも、帰りの旅費とちょっとしたお礼が出る」

 ようやく話の全容が見えてきた。今度はイイ話すぎて気味が悪い。
 調子のいいことを言って連れ出して悪い仕事をさせようとか、ないよね? ね?

 すると今度は院長先生が話を継いだ。

「ミリアナ、もし働く気があるのなら、面接を受けてみてはどう? ルーベンさんが商売のついでに向こうまで送ってくださるそうよ」
「え? ルーベンさんが?」

 ルーベンさんは知り合いの商人だ。毎月、孤児院にいろんな物を売りに来る。
 少し古くなりかけた保存食だとか売れ残りの商品だとかを、ものすごく安く売ってくれるので孤児院はとても助かっている。
 寄付は充分というほどには集まらず、孤児院はいつでも貧乏だったからだ。

「本来なら私が送り届けてあげるべきなんだがね」

 若く見えるのに落ち着いた話し方をする男の人は、申し訳なさそうに言った。

「この後、急に別の用事が入ってしまったのだ。商人のルーベン氏なら私も知っている。誠実で真面目な人物だ。商人にしては、という意味だけど。つまり現実的だが即物的じゃなくて、商売を長い目で見て信頼を大事にしている」

 この人の話し方は長い! くどい!
 半分くらいは意味がわからなかったけど、ルーベンさんをほめているらしいので、とりあえずニコニコと聞いておいた。

「そうね、ルーベンさんは三日後にウモグル村に立ち寄るでしょう。毎月、必ず同じ日に来ますからね。それまでに荷物をまとめられる?」
「はい、院長先生。あの、どの位の準備をすればよいのでしょうか? キャンプで一泊するくらい?」
「ああ、そうか。詳しく説明していなかったね」

 男の人は、服の内側にあるポケットから何かを取り出しながら、

「面接を行う場所は、ここから馬車で一週間くらいかかる所にあるマホテアという大きな街だ。この近くの町から乗合馬車も出ているが、ルーベン氏が君を自分の馬車に乗せてくるだろう。君は小さいから、商品の隙間に乗せても邪魔にならないだろうからね」

 こ、この男は……一言多いっての!

「そして、もしも面接に合格したら、すぐに仕事を始めてもらいたいんだ。だから、当面の生活に必要な物は、できれば一式そろえておいて欲しい。現地で買うこともできるけど、大きな街は物価が高いからね」

 そうなんだ。知らなかった。
 野菜なんか、この辺りの倍以上もするらしい。
 ただし高い代わりに何でもそろっているので、面接に合格して仕事をするようになれば、お給金で買い足すこともできるだろうと言われた。就職が決まった時点で、わずかばかりだが支度金も出るらしい。

 一週間の馬車の旅、そして現地で面接が終わるまでの生活に必要な物。それらを三日でまとめて、私は孤児院を出て行くことになる。
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