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第1章 初めての旅
エルフの特徴?
しおりを挟む「ありがとうございます! 取り返してくださって!」
荷物を受け取ろうと手を伸ばしてつかんだが、女性は背負いヒモを片方つかんだまま動きを止めた。何か言いたげに口を開き、それから思い直した様に口を閉じる。
言おうかどうしようか、迷っている様だ。
「…何でしょうか?」
問いかけると、女性は意を決した様に、
「あなた、さっき、エルフの通行許可証って叫んだよね? もしかして、昨日、北門の所で魔法認証を確認されてた子?」
「あ、そうです」
「あのね、お願いがあるの」
女性はそういうと、私と目線を合わせる様に少し膝をかがめた。
しかしバックパックは離さない。二人で背負いヒモを一本づつ持っている状態だ。
「そのエルフの通行許可証、私にも見せてもらえない?」
「え…?」
私が怪訝な顔をすると、女性は急いで付け加えた。
「見るだけ。盗ったりしないわ。ただ、懐かしくて」
女性は片手で背負いヒモを持ったまま弓を肩にかけ、自分のベルトポーチから一枚のカードを取り出す。世界樹のシルエットを背景に見慣れない文字が書かれた薄緑色のカード。
「私も持ってるけど、故郷にはもう何年も帰ってないから、認証が切れてて光らないのよ」
「あ、おんなじ! お姉さんはエルフの人なんですか?」
「そうよ。見てわからない?」
そう言って片手でフードを払い、顔を出した。
長いまつ毛、切れ長の目。瞳は薄い紫だ。
長い金髪を三つ編みにして背中に垂らしている。
「はい、…あの……綺麗なお姉さんだな、としか…」
「あら、ありがとう」
女性がうれしそうにほほえむと、後ろでマグリーがクックと笑った。
「すいません。俺たちが育ったのは北の方の辺鄙な村で。コイツは今まで外に出たことがないので、よく分かってないんです」
「そんなことないよ! 色々分かるよ!」
「じゃあ、お前、エルフってどんなんだと思ってんだ?」
「えとね、背がすごく高くて頭が良くて、走るのが速くて火の中や水の上を歩けて、弓がうまくて聖獣と仲良しで、空を飛びながら強い魔法をいっぱい使う?」
マグリーが呆れた顔をして見下ろしている。
エルフのお姉さんは大爆笑。
あれ? 自分で言って気がついた。確かにこのお姉さん、スラッと背が高くて弓を使ってて、それにさっき、空を飛ぶみたいに大きなジャンプで引ったくりを追いかけてた。
「あはははは…、か・完全に間違ってるとは言い切れない所がツライわー。精霊魔法を使うから。でも、大げさよ。普通のエルフはそんなに凄くない」
「ミリアナ、それって物語のエルフだろう? 『勇者トリオランテの冒険』に出てくるマルキュリナス」
「うう~…」
だって、それくらいしか知らないもん。
「あのね、精霊族や人間族、それに岩小人族や草小人族など、世界には多くの人種が住んでるけど、本質的にはとてもよく似ているの。骨の数や内臓の配置とかはね。ただ、得意なことがちょっとづつ違うだけ。大昔に、神様が1つの人間の素からそれぞれの大陸に少しづつ形を変えた私達を分けたんじゃないかと言われてるわ」
お姉さんは次々と聞いたことのある種族名を挙げる。
「似てるのに違うの? 見て分かるんですか?」
「よく見ると少しずつ特徴が違うのよ。だから慣れると見た目だけでも判断できる様になるわ。エルフ族は背が高いっていうのはその通りね。個人差はあるけど、人間よりだいたい頭一つ分は背が高い。手足も頭の骨も長めで、よくヒョロッとしてるって言われる。でも太った人は少ない。なぜなら人間よりも内臓が弱くて、すごく太る前に体を壊して死んでしまうから。逆にドワーフは過酷な環境で暮らす種族のせいか、皮下脂肪を蓄えて小太りな人が多いわね。その方が健康そうに見えるって彼らは言うわ」
「へぇ~~!」
今までそんな説明を聞いたことはなかった。
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