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第3章 まもり草の黒い花
宿泊所にて
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宿泊所に着くと、夕飯はもちろん、顔を洗って手足を拭くためのお湯まで用意されていた。
裏の泉の水を沸かしたんだって。
「おお、助かる」
「気持ちいいね~」
「あれ? すり傷やアザが消えてく…?」
「泉の水の効果ね」
そう言えば、泉の水には治癒効果があるって言ってたっけ。すごいよ、これ。
でも、結局、ルルーシェさん以外は食事の前に順番に風呂に放り込まれた。
土蟲との戦闘で、顔と手足を洗った位じゃどうにもならない位に汚れたからね。
お風呂に入ってる間に、ルルーシェさんが服を洗って乾かしてくれた。
風の精霊は、服を乾かすのは得意なんだって。
最初、泥だらけの私とマグリーを見て小言を言いかけたルーベンさんも、血まみれのデレファンにはビックリ仰天。あんなに取り乱したルーベンさんは見た事がない。
すでに魔法薬で治療済みと聞き、元通りの腕を見てようやく落ち着いたの。
「すごかったよ! エルフ語で何か言うたびに風が攻撃したり薬草を切り刻んだり!」
「薬もね、最初は緑色の汁だったのに、ぱああぁって光ったら金色の薬になったの!」
「ほうほう!」
マグリーと私の話を興味深げに聞いてくれるルーベンさん。
ルーベンさんは子供の頃、物語に出てくるような魔法使いになりたかったんだって。困った人をチョチョイのチョイと助けてくれる魔法使いに。
でも、魔法の素質は全くなかったので、困った人の役に立つ商人になったそうだ。
「エルフの精霊魔法か…」
外から帰って来たデレファンが会話を聞きつけて話に加わる。血に汚れた服を外で燃やして埋めてたの。
「エルフ語じゃなくても精霊と話ができるはずだってエルフ達は言うんだよ。でも、俺は精霊と会話できたためしがないね。水を出せれば便利なんだがな」
あー、確かに便利!
「精霊もさぁ、兄さんを見たら『乱暴そうな生き物が来た!』って逃げるんじゃないの?」
「なんだと? コイツ」
「痛ッ!」
ゲンコツがマグリーの頭頂部を小突く。
「そういうトコ!」
痛む頭を押さえながらウラミがましい目で見上げたマグリーは、デレファンが右腕で殴ったことに気づき、表情を和らげる。
デレファンの右腕はすっかり治っていた。よく見れば傷跡がうっすらと白く残っているが、肌の色も元通り。
「もう痛くないの?」
「ああ、全然。今まで通り戦える。ルルーシェに感謝だな」
普通の薬で治療をしたら、傷が消えるだけでも一ヶ月以上はかかっただろう。魔法薬というのは本当にすごい。
「ところで、その当の本人は、ルルーシェ嬢は、アレは一体…何をしているのかね?」
香りのいいミンテ茶を飲みながら、ルーベンさんが窓の外のテラスに目をやる。
宿泊所は想像していたよりもかなり大きな建物だった。
高名な劇作家や貴族も訪れる事があるらしく、個別に戸締りのできる車庫まで付いていた。
厨房や風呂も付いているが、従業員は居ないため、利用するには使用人を連れてくるか、人を雇うか、自分で準備する必要がある。
二階にはいくつかの寝室があり、部屋の大きさにより料金が異なる。
一階は、大きな暖炉がある広い部屋。食堂と談話室を兼ねている。そして裏手にある回復の泉が見渡せる大きな窓とテラスが付いている。
みんなで夕食を食べた後、ルルーシェさんはテラスに出て、そこでずっと何かしている……みたい。
というのも、ほとんどの時間は空を見上げているだけ。時折、飛んでくる何かを捕まえたり何かを飛ばしたりしている。
また何かが飛んで来たようだ。ルルーシェさんが手を伸ばしてヒョイと捕まえる。
……紙飛行機に見えるけど…、アレも魔法??
「ああん、もう!」
紙飛行機を広げて中の文字を読んでいたルルーシェはグシャリと紙を握りつぶしてうめいた。
裏の泉の水を沸かしたんだって。
「おお、助かる」
「気持ちいいね~」
「あれ? すり傷やアザが消えてく…?」
「泉の水の効果ね」
そう言えば、泉の水には治癒効果があるって言ってたっけ。すごいよ、これ。
でも、結局、ルルーシェさん以外は食事の前に順番に風呂に放り込まれた。
土蟲との戦闘で、顔と手足を洗った位じゃどうにもならない位に汚れたからね。
お風呂に入ってる間に、ルルーシェさんが服を洗って乾かしてくれた。
風の精霊は、服を乾かすのは得意なんだって。
最初、泥だらけの私とマグリーを見て小言を言いかけたルーベンさんも、血まみれのデレファンにはビックリ仰天。あんなに取り乱したルーベンさんは見た事がない。
すでに魔法薬で治療済みと聞き、元通りの腕を見てようやく落ち着いたの。
「すごかったよ! エルフ語で何か言うたびに風が攻撃したり薬草を切り刻んだり!」
「薬もね、最初は緑色の汁だったのに、ぱああぁって光ったら金色の薬になったの!」
「ほうほう!」
マグリーと私の話を興味深げに聞いてくれるルーベンさん。
ルーベンさんは子供の頃、物語に出てくるような魔法使いになりたかったんだって。困った人をチョチョイのチョイと助けてくれる魔法使いに。
でも、魔法の素質は全くなかったので、困った人の役に立つ商人になったそうだ。
「エルフの精霊魔法か…」
外から帰って来たデレファンが会話を聞きつけて話に加わる。血に汚れた服を外で燃やして埋めてたの。
「エルフ語じゃなくても精霊と話ができるはずだってエルフ達は言うんだよ。でも、俺は精霊と会話できたためしがないね。水を出せれば便利なんだがな」
あー、確かに便利!
「精霊もさぁ、兄さんを見たら『乱暴そうな生き物が来た!』って逃げるんじゃないの?」
「なんだと? コイツ」
「痛ッ!」
ゲンコツがマグリーの頭頂部を小突く。
「そういうトコ!」
痛む頭を押さえながらウラミがましい目で見上げたマグリーは、デレファンが右腕で殴ったことに気づき、表情を和らげる。
デレファンの右腕はすっかり治っていた。よく見れば傷跡がうっすらと白く残っているが、肌の色も元通り。
「もう痛くないの?」
「ああ、全然。今まで通り戦える。ルルーシェに感謝だな」
普通の薬で治療をしたら、傷が消えるだけでも一ヶ月以上はかかっただろう。魔法薬というのは本当にすごい。
「ところで、その当の本人は、ルルーシェ嬢は、アレは一体…何をしているのかね?」
香りのいいミンテ茶を飲みながら、ルーベンさんが窓の外のテラスに目をやる。
宿泊所は想像していたよりもかなり大きな建物だった。
高名な劇作家や貴族も訪れる事があるらしく、個別に戸締りのできる車庫まで付いていた。
厨房や風呂も付いているが、従業員は居ないため、利用するには使用人を連れてくるか、人を雇うか、自分で準備する必要がある。
二階にはいくつかの寝室があり、部屋の大きさにより料金が異なる。
一階は、大きな暖炉がある広い部屋。食堂と談話室を兼ねている。そして裏手にある回復の泉が見渡せる大きな窓とテラスが付いている。
みんなで夕食を食べた後、ルルーシェさんはテラスに出て、そこでずっと何かしている……みたい。
というのも、ほとんどの時間は空を見上げているだけ。時折、飛んでくる何かを捕まえたり何かを飛ばしたりしている。
また何かが飛んで来たようだ。ルルーシェさんが手を伸ばしてヒョイと捕まえる。
……紙飛行機に見えるけど…、アレも魔法??
「ああん、もう!」
紙飛行機を広げて中の文字を読んでいたルルーシェはグシャリと紙を握りつぶしてうめいた。
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