54 / 77
第3章 まもり草の黒い花
苦しみの原因
しおりを挟むそれを見たコラドモラドは、その場で崩れ落ちる様にひざまずいた。
「お、お嬢さん! ララウクラウ様! どうか、おらの息子も助けてくだせえ!」
土で汚れるのも構わずに土下座してララウを拝む。
「息子ぁ、明日をも知れぬ容体で…、今にも息が止まるんでないかと家中が苦しんどります。どうか……どうかっ…」
「もちろんよ、コラドモラド。顔を上げて。私にできることなら何でも」
〈 …ワタシ モ… 〉
〈 …ワタシ モ タスケテ… 〉
「でも、実際に息子さんを診てみないと、瘴創なのかは分からないわ」
「いんや、間違いねえ。さっきの症状は丸っきり同じよ。医者に診てもらった時ぁ、ショウキだのショウソウだのって話は出てこなんだが」
「医者が持っている判定機では、呪い状態は判別できても瘴創までは分からないの。反応がハッキリしないのよ。もっと精巧な魔道具か、聖職者が診るのでないと」
〈 …クルシイ… 〉
〈 …タスケテ… 〉
〈 …ワタシ モ……! 〉
また、声が聞こえた。
ミリアナは辺りを見回す。
ふと、黒い花をつけたリアン草が目に入った。
「…あなたなの?」
返事はない。ただ、かすかな風に花びらを揺らすだけ。
「医者では専門外ということですかね」
「ええ、そうね」
「毒や病気を疑ってたから分からなかったのか…」
「畑のまん真ん中で、そったら小難しい中毒になるとは思わんで」
コラドモラドは息子の治療法への期待と不安で麦わら帽子を潰れるほど握りしめている。
「あ、あの…!」
私は思い切って大声を出した。
「この黒い花にも、浄化魔法をかけてあげてもらえませんか?」
「ええ!?」
ララウが驚いている。
「花に?」
「なして? その花ぁ、息子のカタキよ」
コラドモラドさんは目を三角にして怒っている。
「だって……苦しそうなんだもん。もしかしたらこの花も、病気じゃなくて瘴気のせいで色が変わっちゃったのかもしれないでしょ?」
「そんなこたぁ………う~む……」
ない、と言い切れないコラドモラドは困った顔で黙り込む。
「わかったわ。試してみましょう」
ララウは注意深く黒い花に近づき、手をかざして唱えた。
「浄化」
ララウの手から光があふれ、花びらに触れる。
チリチリと、何かが燃える様なかすかな音。
光が消えると、そこには、真っ白に輝くリアン草の花があった…
「これは…」
「ね? リアン草も治ったでしょ?」
ララウはビックリしてたけど、私には不思議じゃなかった。
だってリアン草も苦しがってたから。
「原因は…瘴気なのか?」
「もしかしたら…地脈の奥の方が瘴気に侵されてるのかも。それをリアン草が吸い上げて…あんな色に?」
「つまり原因不明の病気じゃなくて、リアン草に蓄えられた濃い瘴気が原因の瘴創かもしれない…と?」
マグリー、ララウ、ルーベンの3人が一斉にコラドモラドを見る。
「息子は……治るだか?」
コラドモラドが震える声で聞く。
「だいぶ症状が悪化している様ですから、私の能力では足りないかも知れません。神殿へ行って、神官様に浄化をお願いしましょう」
「神殿もさっきの場所…六角館にあるんだよね?」
「ホルスト魔法薬草商会の向かい側よ」
「薬草は後で構いません。急ぎましょう!」
ルーベンさんは私達を急かせて荷馬車に乗り込んだ。畑まで乗ってきた荷馬車だ。
「父さん、俺が運転するよ」
「いえ、しっかりとつかまっていてください」
場所を代わる時間も惜しいと、そのまま発車する。
ガタガタと音を立てて、荷馬車が農道をひた走る…
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
悪役令嬢は死んで生き返ってついでに中身も入れ替えました
蒼黒せい
恋愛
侯爵令嬢ミリアはその性格の悪さと家の権威散らし、散財から学園内では大層嫌われていた。しかし、突如不治の病にかかった彼女は5年という長い年月苦しみ続け、そして治療の甲斐もなく亡くなってしまう。しかし、直後に彼女は息を吹き返す。病を克服して。
だが、その中身は全くの別人であった。かつて『日本人』として生きていた女性は、異世界という新たな世界で二度目の生を謳歌する… ※同名アカウントでなろう・カクヨムにも投稿しています
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる