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第4章 新しい管理人
枝の上の子供
しおりを挟む(……子供!? こんな小さな子が、何でココに!?)
子供は、小さな手足をめいいっぱい使って世界樹の枝にしがみついている。
隠れようとしていたみたい。だけど私に見つかると、
「えへへ……」
と照れくさそうに笑った。
どうも窓から部屋をのぞいていたようだ。
でも、ここって高い高い木の上だよ!?
「こんにちわー」
笑顔でゆっくりと話しかける。あせってはいけない。
大声を出したり怒ったりしたら、あの子がビックリして落ちてしまうかも。
「…ちわー」
大きく頭を振りながら答える子供。お辞儀をしているつもりかな?
あああ、動かないで。
あの子を安全な場所に移動させるには、どうしたら……そうだ!
「ねー、こっちのお部屋に来ない?」
「んー?」
子供は首をひねる。
「美味しい焼き菓子があるんだ~。ナッツ入りの甘いクッキー。一緒に食べようよ」
ベルトポーチに、ララウからもらったクッキーが入っているのを思い出して誘ってみる。甘いものが嫌いな子供はあまりいない。
「…んー!」
今度の「んー」は、肯定の意味らしい。こちらに向かって枝を伝ってくる。
自分が恐ろしく危ない場所で遊んでいる自覚がないのだろう。つたない動きながら、躊躇することなく進んで来る。
「ゆっくり、おいで。そう。そこの枝、ギュッと持って」
「んー…」
足を踏み外したり手を滑らせたりするんじゃないかと気が気じゃない。
枝の上で急に立ち上がった時なんか、心臓が破裂しそうだったよ!
「たー」
ようやく窓枠にたどり着いた子供は、私が抱き上げるとそう言って笑った。
「来た」の「た」かな?
「ただいま」の「た」かな?
それとも「食べる」の「た」?
「あんな危ない所で遊んじゃダメだよ?」
ちょっとだけ怖い顔をして注意しても、キャッキャと笑っている。
「もう! 心配したんだからね!?」
ギュッと抱きしめると、赤ちゃんのような汗とミルクの匂いではなく、葉っぱのような匂いがした。
「私、ミリアナ。君の名前は?」
「ゆー…」
「ゆー? ゆー君?」
「んー!」
手足をバタつかせてキャッキャと喜ぶ。
「そうか~、ゆうくんか~」
いくつくらいだろう。ふたつ位?
近所の子かな?
抱っこしたまま窓枠から離れ、反対側にあるソファに座る。
「お水もあるよ。飲む?」
「むーー!」
うれしそうな大声。
これは分かりやすい。「飲むー!」だよね。
背中のバックパックを降ろして水筒を取り出す。
「はい、どうぞ」
「あいー!」
うれしそうに水筒のカップに口を寄せる。
こぼさないように手を添えて飲ませてやる。木登りで疲れていたのだろう。あっという間に二杯、飲み干した。
「次はぁ……ジャーン!」
ベルトポーチから紙に包まれたクッキーを取り出す。
「これね、お友達にもらったばかりの……んん?」
子供は取り出したクッキーではなく、ベルトポーチの方が気になるようだ。手をかけてのぞき、
「あうよー?」
中を指差す。
「そう。いろんな物があるよ。大事な物は全部ココに入れてるの。お財布でしょ、綺麗なカードでしょ、それから…」
ハンカチに包んである小さな物を取り出す。
「これは…指輪」
ノームのおばあさんからもらった金の指輪。
「私には大きくて……あれ?」
指にはめてみると、それは右手の中指にピッタリの大きさだった。
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