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第4章 新しい管理人
待つ者たち
しおりを挟む「少しは落ち着け!」
ドワーフのラグナルは、ウロウロと歩き回るジーナを叱りつける。
「だってサァ……」
あれからもう30分以上経った。
ジーナは世界樹の入り口を見る。
「心配なら見に行って来たらどうだ?」
斧の手入れをしながら興味なさそうに言うラグナルに、
「何ですと?」
血相を変えるレグアーデ卿。
世界樹から出来るだけ離れた位置で待機している彼は、語気も荒く抗議する。
「そのようなイカサマを…よくもまあ…恥知らずが…ッ」
と、その時、
「あっれ~? ゲルゲルじゃ~ん?」
弾むような声が背後から飛んできた。
ギョッと身構えるレグアーデ卿。
「やっぱりぃ~! おっひさ~! どしたの? オイラに会いに来たぁ~?」
ピョンピョンと跳ねるように歩く少年が、大騒ぎしながらレグアーデ卿にまとわりつく。
「な、な……我輩の名は、レグアーデ侯爵ガストン・ウォーゲルゲ。レグアーデ卿、もしくは、レグアーデ侯爵と呼べ!」
「そんなの、気にしないでいいよぅ~。オイラとゲルゲルの仲じゃ~ん!」
大きく丸い耳をピクピクと動かしながら、少年は恥ずかしそうにモジモジする。
一見、人間の子供に見えるが草小人族だ。
完全にからかわれている。
「これはこれは…ようこそ、レグアーデ卿。本日はどの様なご用件で?」
口調の柔らかさとは裏腹に、鋭い目付きをした男が続いて現れる。
背の高い大柄な人間族。スケイルアーマーを着込み、背中に盾と長剣をかついでいる。金茶の髪が汗で額に張り付いているのは戦闘帰りなのだろう。さっきまで被っていたとおぼしき兜を手に持ち、レンガの道をやって来る。
その後ろには、異国風の武装をした女、場違いに上品そうな少女、ローブで顔を隠した背の高い細身の男と続く。
「くっ……このホッパーを何とかしろ! 黙らせろ!」
「ええ~っ、嫌ぁ~ん、ゲルゲルったらイケズぅ~っ!」
青筋立てて怒鳴るレグアーデ卿の周りを、体をくねらせ尻を振りスキップしながら跳ね回るホッパー。捕まえようとしてもスルリと逃げ、
「ベロベロバ~ッ」
と舌を出す。
兜を持った男は大げさに肩をすくめ、
「ティピは俺のパーティメンバーだが、部下ではない。命令はできんな」
と、苦笑いする。
「だが……」
その後ろに居た異国風の武装をした女がつぶやく。
シャキン!
同時に、目にも留まらぬ速さで腰に下げていた刀を抜き、一閃。
逆立ちしたホッパーの顔の前に生えていた雑草がハラリと落ちる。だが顔にはキズ一つ付いていない。
「…うるさい」
女がため息をついた。
「う、うん。オイラ、ちょっと疲れちゃった~?」
「あらあら」
ホッパーのティピは冷や汗をかきながら、上品な少女の陰に隠れる。
とりあえず静かになった。
「バルディアス」
ジーナが兜を持った男に駆け寄る。
「何があった?」
「管理人だよ。新しい…。レグアーデ卿の配下の3人が試練に失敗して、その後…」
「クレヴァンシアスが見つけたっちゅう子供が入ったっきり出てこなくての」
「子供…?」
ジーナとラグナルの説明を聞き、バルディアスは首をかしげる。
「前任者は、かなりの歳ではなかったか?」
「ああ。食えないジジィだったわ」
レグアーデ卿が忌々しそうに吐き捨てる。
「クレヴァンシアスもまだ帰って来ないし、どうしたら…」
「様子を見て来ましょうか?」
「ならぬならぬならぬ~!!」
ローブで顔を隠した細身の男の提案に、レグアーデ卿がまたしても烈火のごとく逆上する。
「……仕方ない、待とう」
バルディアスは世界樹を見上げ、あきらめたように言った。
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