世界樹の管理人

浅間遊歩

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第4章 新しい管理人

鍵の指輪

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「コレ、こう見えて魔道具でサァ」

 郵便受けをポンポンと叩くジーナ。

「魔晶石を使ってる本格的なヤツ。鍵がかかるだけじゃなく、容積拡張に品質保持、盗難防止機能まで付いてるホンモノの魔道具。使い捨ての魔法結晶を使う簡易版なら魔法結晶の効果が切れりゃ開くんだろうけど、コレは開け方すら分かんなくてネェ」
「管理人およびここの住人宛の郵便物は、この郵便受けに入れる決まりになっている。これも管理人が突然消えたことにより起こった解消できない不都合の一つだな。俺たち宛の郵便物は冒険者ギルド止めに切り替えたが、連絡が行き届かずに受け取れていない郵便物もある」

 バルディアスの言に、周りの皆も困った顔でため息をつく。

「アーッハッハッハ……、ほれ見ろ。そんな小娘じゃ何一つ解決できやしない。我輩が管理人になれば、すぐに最高の技師を雇ってその郵便受けを解体し、中身を取り出して見せると約束しよう!」
「まーだあきらめないのかヨ!」

 高笑いするレグアーデ卿にジーナはあきれ顔。

「見た目は普通の郵便受けなのに…」

 私が郵便受けのフタの取っ手に触ると、レグアーデ卿は、ヤレヤレと首を振った。

「これだから高度な魔法技術に見識の浅い子供は……ぬあっ!?」
「きゃあっ」

 ザラザラ…ドシャ、グシャ、ドドン!!

 郵便受けのフタが開き、大量の郵便物があふれ出す。
 封書や小包などが次々と流れ出し、郵便受けの下に山と積み上がった。

「大丈夫かっ!?」

 郵便物に埋もれたミリアナをディゴリーが引っぱり出す。

「ビ、ビックリしたぁ!」
「そりゃ、こっちのセリフだ。一体、何しやがった」
「別に…何も…。フタの取っ手を触っただけ…」

 郵便受けを指差す右手を見て、クレヴァンシアスが驚きの声を上げる。

「その指輪…!!」
「え?」

 ノームのおばあちゃんからもらった金の指輪。
 管理人室でゆうくんと話題にしながら指にはめたままだった指輪。
 クレヴァンシアスはミリアナの手を取りつつ、指輪をマジマジとながめる。

「これは…前の管理人が持っていた管理用の鍵の指輪…。予備を含めて、この世に2つしかないと聞いている。君が持っていたのか」
「ええと…」

 どう説明したらいいんだろう。

「よろしくね、管理人さん。あたし、ネアム。草小人族ホッパーのネアムよ」

 年下に見えるが、おそらく成人しているだろう草小人族ホッパーの少女、いや女性がピョンと近寄ってきた。

「はい。よろしくお願いします。ミリアナです。精一杯、勤めさせていただきます!」
「ミリアナちゃーん、気楽に気楽に。あたいはジーナ。あんたがここに住んでくれるならうれしいよ」
「はじめまして。わたくし、フィアーネと申します。仲良くしてくださいね」
「これから世話になる。我はユズハ」

 ジーナに続き、聖職者らしい服装の上品な少女と異国風の武装をした女性が近づいて来た。

「は~い、注目注目ぅ~! おいらはティピ! ティピ・ザ・エンジェルマウス!」

 クルンと一回転して決めポーズ。
 天使ネズミエンジェルマウスというのは有名な魔獣の一種だ。
 小さくて可愛らしい見た目だが器用ですばしこく、どこへでも潜り込むため、あなどれない。
 いかにもホッパーのシーフらしいアダ名と言えよう。
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