面倒くさがり悪役令嬢は、追放先でのんびりしたいのに!

きららののん

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ゼンドラー領に、また一つ吉報がもたらされた。
領地のはずれの山で、高品質なミスリル銀の鉱脈が発見されたというのだ。
ミスリルは武具や魔道具の材料として非常に高価で取引される。

セバスは、書斎で小躍りして喜んでいた。

「やりましたな、レティシア様! これで当領の財政は安泰ですぞ! 早速、採掘師を募集し、作業に取り掛からせましょう!」

「待ちなさい、セバス」

わたくしは、ソファの上でゴロゴロしながらその報告を聞いていたが、その言葉に待ったをかけた。

「人を集めて掘るのですか? 落盤事故でも起きたら面倒ですわ。それに、ちゃんと働いているか監視したり、給金を計算したりするのも、考えただけで億劫になりますわね」

「し、しかし、鉱石は人が掘るものでは…」

「時代遅れですわ」

わたくしはそう言うと、セバスに大量の粘土と、魔力を通しやすい性質を持つ石を持ってくるよう命じた。
そして、部屋の中央で、粘土をこね始める。

アッシュが興味深そうに、その手元を眺めている。

「レティシア様、それは…?」

「ゴーレムですわ。これに自律して採掘を行う魔法プログラムを組み込んでおけば、文句も言わず、休憩もせず、24時間365日働いてくれますわ」

わたくしは、人型のゴーレムを十数体作り上げると、その核に魔石を埋め込み、魔力を注ぎ込んだ。
ゴーレムたちが、ぎこちなく立ち上がる。

「さあ、お働きなさい。わたくしの安眠のために」

食費も人件費もかからず、ストライキも起こさない、完璧な労働力。
自律型採掘ゴーレム軍団の誕生である。
彼らが昼夜を問わず銀を掘り続けた結果、ゼンドラー領の資産が、王家のそれを超える勢いで膨れ上がっていくのは、もう少し先の話だ。
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