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私は、ただ泣きじゃくることしかできなかった。
そんな私の姿を、ディランは困ったように、けれど優しく見守っていた。
しばらくして、私が少し落ち着いてきたのを見計らい、彼は静かに口を開いた。
「リア。俺は、お前が好きだ」
「……え」
あまりにも真っ直ぐな告白に、涙がぴたりと止まる。
心臓が、大きく、大きく跳ね上がった。
「初めて森で会った時から、気になってた。気位が高そうで、世間知らずで、どうしようもねえお嬢様だってのは、すぐにわかった。でも、お前の瞳の奥には、どうしようもないくらいの寂しさが浮かんでた」
ディランは、私の手をそっと握った。
その手は、いつもみたいに温かかった。
「一緒に暮らすうちに、あんたの不器用さも、負けん気の強さも、本当はすごく優しいところも、全部知った。畑仕事で失敗して悔しそうにする顔も、俺が作った飯を美味そうに食う顔も、子供たちと笑ってる顔も、全部好きになった」
彼の言葉が、夢のように聞こえた。
こんなこと、許されるのだろうか。
罪人である私が、こんなにも温かい言葉を、受け取ってもいいのだろうか。
「だから、お前の過去がどうだったかなんて、俺には関係ねえ。俺が好きなのは、クーデリア・アベンティスじゃない。今、目の前にいる、お前だ。……リア」
そう言うと、ディランは私をその力強い腕で、ゆっくりと、しかし強く抱きしめた。
彼の胸に顔を埋めると、汗と土の匂いに混じって、彼自身の優しい匂いがした。
それが、どうしようもなく私を安心させた。
「君が誰であろうと、俺の気持ちは変わらねえよ」
耳元で囁かれたその言葉が、私の心に残っていた最後の棘を、完全に抜き去ってくれた。
ああ、この人は、私が何者であるか、など気にしない。
ただ、私という人間そのものを、見てくれている。
愛してくれている。
「……ディラン」
「ん?」
「わたくしも……あなたのことが、好きです」
やっとの思いで絞り出した声は、まだ涙で震えていた。
けれど、それは紛れもない、私の本心だった。
腕の力が、少し強まる。
「……知ってた」
「えっ」
「お前、俺のこと見てる時、すげえ顔赤くなってたからな」
「な……!」
彼の言葉に、今度は嬉しさと恥ずかしさで、顔が真っ赤になるのがわかった。
ディランの胸の中で、私は彼の意地悪な言葉に、小さく抗議の声を上げた。
「……うるさい、ですわ」
彼は、くつくつと喉を鳴らして笑った。
その振動が、心地よく私に伝わってくる。
過去の罪が、消えてなくなるわけではない。
私が犯した過ちは、一生背負っていかなければならないものだ。
けれど、この腕の中にある温もりだけは、真実だった。
ディランが与えてくれた、無償の愛。
それさえあれば、私はきっと、もう一度前を向いて歩き出せる。
生まれて初めて感じた、本当の幸福。
私は、この温かい胸の中で、静かに、そして固く、そう誓った。
そんな私の姿を、ディランは困ったように、けれど優しく見守っていた。
しばらくして、私が少し落ち着いてきたのを見計らい、彼は静かに口を開いた。
「リア。俺は、お前が好きだ」
「……え」
あまりにも真っ直ぐな告白に、涙がぴたりと止まる。
心臓が、大きく、大きく跳ね上がった。
「初めて森で会った時から、気になってた。気位が高そうで、世間知らずで、どうしようもねえお嬢様だってのは、すぐにわかった。でも、お前の瞳の奥には、どうしようもないくらいの寂しさが浮かんでた」
ディランは、私の手をそっと握った。
その手は、いつもみたいに温かかった。
「一緒に暮らすうちに、あんたの不器用さも、負けん気の強さも、本当はすごく優しいところも、全部知った。畑仕事で失敗して悔しそうにする顔も、俺が作った飯を美味そうに食う顔も、子供たちと笑ってる顔も、全部好きになった」
彼の言葉が、夢のように聞こえた。
こんなこと、許されるのだろうか。
罪人である私が、こんなにも温かい言葉を、受け取ってもいいのだろうか。
「だから、お前の過去がどうだったかなんて、俺には関係ねえ。俺が好きなのは、クーデリア・アベンティスじゃない。今、目の前にいる、お前だ。……リア」
そう言うと、ディランは私をその力強い腕で、ゆっくりと、しかし強く抱きしめた。
彼の胸に顔を埋めると、汗と土の匂いに混じって、彼自身の優しい匂いがした。
それが、どうしようもなく私を安心させた。
「君が誰であろうと、俺の気持ちは変わらねえよ」
耳元で囁かれたその言葉が、私の心に残っていた最後の棘を、完全に抜き去ってくれた。
ああ、この人は、私が何者であるか、など気にしない。
ただ、私という人間そのものを、見てくれている。
愛してくれている。
「……ディラン」
「ん?」
「わたくしも……あなたのことが、好きです」
やっとの思いで絞り出した声は、まだ涙で震えていた。
けれど、それは紛れもない、私の本心だった。
腕の力が、少し強まる。
「……知ってた」
「えっ」
「お前、俺のこと見てる時、すげえ顔赤くなってたからな」
「な……!」
彼の言葉に、今度は嬉しさと恥ずかしさで、顔が真っ赤になるのがわかった。
ディランの胸の中で、私は彼の意地悪な言葉に、小さく抗議の声を上げた。
「……うるさい、ですわ」
彼は、くつくつと喉を鳴らして笑った。
その振動が、心地よく私に伝わってくる。
過去の罪が、消えてなくなるわけではない。
私が犯した過ちは、一生背負っていかなければならないものだ。
けれど、この腕の中にある温もりだけは、真実だった。
ディランが与えてくれた、無償の愛。
それさえあれば、私はきっと、もう一度前を向いて歩き出せる。
生まれて初めて感じた、本当の幸福。
私は、この温かい胸の中で、静かに、そして固く、そう誓った。
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