異世界探訪記

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三日目。川岸にて

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三日目。
 昨日野営した所から見て東に足を向けた。道はなく、起伏もそれなりに有ったため真っ直ぐ来たという保証はないが、取り敢えず、昨日の野営地より東側だ。
 ここらには背の低い、踝丈の雑草が生い茂っており時たま膝下位まで伸びた花が春の日差しを受けていた。
 そして、偶に立ち上る火柱。なにを言っているのか自分でもって混乱するが、この星の植物は偶に発火するらしい。いや、地球でも発火する植物は有るんだったか?でも、未だ春先だぞ?真夏に発火するならともかく今の気温で発火するなら、夏はこの大陸が火の海にならないか?
 ・・・・・・まぁいいか。今は川岸にたどり着いたのでそこで野営をする事に決め、食料調達をしたところだ。長く細い棒を見つけてきて、泳いでいる魚に向けて突き刺す。なぜか簡単に突き刺さるんで調子に乗って五匹くらい調達した。
 そう言えば、この星の原生動物はともとても弱い。角の生えた兎は蹴り上げるだけで爆散するし、肉食獣も蹴り上げるだけで切断してしまう。
 これは重力が関係していると思う。多分、この星は月と同じくらいの大きさなんだろう。何故って、ジャンプしてみたら優に五メートルは跳べたからだ。それくらい跳べるのは月くらい小さな星でないと有り得ないだろう。そこから導き出せる答えは、重力が弱い→頑丈に育たない→破裂、または切断してしまう。こういう事だろう。

 昼間に取った魚を塩焼きにして食べたら鮎の塩焼きみたいで旨かった。塩は火柱の跡に灰のように積もっているから割と調達は楽。何故灰のように積もったモノが塩だとわかったのかというと、動物たちが火柱の跡に集まって灰を舐め回していたからだ。気になって灰を口にすると、焦げた苦味の中にしょっぱさを見つけて大喜びしたものだ。
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