異世界探訪記

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三十一日目。エルフ族の集落にて

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三十一日目。
 今日の昼間は何か出来ることはないかと散歩をする傍ら、『千里眼』を用いて周囲を確認していた。周囲の生態系を確認したくなったのと、三日前に来た役人が気になったためだ。
 見つけたときに悪感情が沸き上がるのを感じたから俺は思っていた以上に湿っぽいらしい。
 そうこうしていると役人は近付いてきた毛皮を纏った男に、持って行った装飾品の半分を渡し頭を下げてから去っていく。

 この事を昼休憩の折にギルビットさんやベルデットさんに報告すると、二人は頭を抱えだした。
 推測だが毛皮を纏った男はサザリーンと言い、ここらでは有名な盗賊らしい。どこかからノーム族のアクセサリーの情報を聞きつけて此方に来たのかも知れないと言っていた。

 午後からは対サザリーンの為に、建物の耐久力を向上させたり、一部隠蔽魔法を用いたシェルターを作り始めたりと、大慌てで集落の堅固化を進めていった。

 夕餉ゆうげの席でエルフ族の皆から代表してベルデットさんから感謝された。近い内に建物の補強と避難場所の建設はやるつもりだったのだが、そのきっかけを俺が作ってくれたと言っていた。
 俺がこの時に来てくれなければ、何もせぬままサザリーンに集落を潰されていた可能性が高かったとも。

 良い方向に転がったのならコレほど嬉しい事はない。
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