異世界探訪記

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八十六日目。キノコの森の入り口前にて

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八十六日目。
 今日はキノコの森に近寄って観察する日。
 よくよく見てみるとやっぱり違うものは違うとはっきり解る。燃え上がっていたのは塩を出すエルディスだけでなく、キノコ側、マッシムというキノコも一緒になって炎上している。このキノコは自ら燃え上がった炎に胞子を乗せて生息域を広げるらしいが、十度位で死滅するため、ここではなかなか広がって行けないそうだ。
 そびえ立つキノコはアラスタと言うキノコに似ているが、新種かも知れない。アラスタは最果ての森から人類の住む範囲では腰ほどの高さで、毒にも薬にもならないと言う。食べれば食べられなくもないが、腹が膨れるだけで飢饉の時以外では見向きもされない。その上、栄養が無いのかアラスタを食べ続けた物は満腹で餓死する者もいるのだとか。……そりゃあ大変だ。

 遠目で見て毒キノコだと解るキノコは力ラスタ(前述のキノコの仮名)の根元に巻き付くように生えているキノコ。
 これは傘が広がらず球体になってて、頭頂に穴が開き、そこから胞子が発散されている。その胞子が毒になりうると言う。
 それはマビスタと言うキノコに似ているが、通常は親指大の大きさでここにあるのは傘の部分だけ見ても大玉のスイカを凌駕する。生え方もマビスタに似ているらしいがギルビットさんも首を傾げていた。
 その他にはアインツと言うキノコに似ているキノコらしいキノコ。通常は掌大だが、ここでは高さが腰ほどもあり、傘の表面は虹色にテカっている。レインボーフロッグと言うカエルの死骸に取り付いて分解しながら成長するのだそう。毒はそのレインボーフロッグの毒由来らしい。
 ただ、どこにもレインボーフロッグの死骸見つからないので違う種類のキノコかもとも言っていた。アインツはレインボーフロッグの死骸が無くなると死滅するからだと言っていた。

 俺だけでキノコの森に入っていって食べられそうなキノコを三種類取ってきて見せると、確かに食えるキノコだったらしい。ライディン、サクセン、ナラディック。コレがキノコの名前らしい。ライディンはブナシメジに似たキノコで、ヌルテカする傘の表面にはとても美味しいらしい。前回は焼いて食べたが、コレは生で塩も振らずに食べるものだと言われた。確かに生で食べたら旨味の洪水に押し流された。
 サクセンはマビラタと言うシイタケに似た外見で、干すか焼くかしないと食えないほど弾力がある。確かに牛すじ以上の硬さが有った。味のいいゴムボールを噛んでいる感覚か?噛めば噛むほど味が出てくるので牛すじ以上に噛んでいられる。ラスティーやアズラータさんもニッコリしていた。
 ナラディックはキクラゲに似た外見でやはりコリコリしていた。ギルビットさんの好物で、他のキノコよりも視線が釘付けになっていたのが面白い。

 そんな事をやっている間、商隊はダッシラーさんとミネルヴァさんを引き連れて『エルディスの塩』を回収して回っていたようだ。空にした荷車の半分くらいまで砂のような塩が積まれていた。
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