異世界探訪記

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九十二日目。エルフ族の集落にて

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九十二日目。
 今日は昼過ぎに集落へたどり着き、各々挨拶して回った。俺は取り敢えずハヌラット君やメヌエットさん、商隊の皆と狩り組の人達に無事を知らせ、その後畑組、内職組に顔を出して回った。畑組は一番最初に顔を出した様だったが、内職組は先にギルビットさんが顔を出していた様だ。

 ベルデットさんの所へ顔を出すと、一緒に行脚していたエルフ族が集まり話し合いをしていた。一緒になって子供たちも出迎えてくれた。
 俺が顔を出すまでは今回の成果を報告していた様だ。そこにはハヌラット君とメヌエットさんの成長具合も入っていたらしく、少し顔が赤くなっていた。
 聞けば、ギルビットさんが二人の成長具合を手放しに誉めていたのだそう。この成長は俺のおかげだと躱そうとしたのだが、二人の成長は二人にしか出来ないものだと言ってベルデットさんとギルビットさんは聞かないらしい。……俺もそう思うんだがな。

 そうそう、旅の報告をしていたと言うことで西の最果ての地では以前彷徨っていたときより獣の襲撃が目に見えて少なかった事を報告しておいた。原因はいくつか考えられるが、魔法の練習をしていた事と、団体で行動していたことが一番大きい違いだとも付け加えておいた。
 周りからはあれで少なかったのかぁとげんなりした雰囲気は伝わってきたが、事実なのでなにも言うまい。

 夕餉近くなると子供たちがクッキーを焼いてくれた。奥様方達が目を光らせつつやらせてくれたと良い笑顔で教えてくれたので、やりたい子達が周囲をハラハラさせつつ焼いたのだろう。
 いつもの様に夕餉の準備を始めると、指示を出さずとも子供たちが率先して動き出したのには感動してしまった。

 夕餉は思った通り宴会になった。知らない人が挨拶にきたのであれ?と思っていると、ベルデットさんが若者が数人戻ってきたのだという。彼等には子供も居るそうで、今回はこの集落に戻ってきても大丈夫そうか確認しにやってきたそうだ。
 何でも、彼等は元々この集落の住人だったが独り立ち寸前だったが住居がなく、夜な夜な会議を開いていたのを聞きつけたのか冒険者になると言って集落を飛び出していった者達だそうだ。
 当時はノーム族の集落との交易もなかったし、交易を始めたとしても重税で木材を買っている余裕もなく、住居の建設まで手が回らなかったので戻ってきても大丈夫と言えなかったそうだ。
 で、俺が来てからこっち、税は緩和されるし賊の捕縛で臨時収入はあるしで俺達がノーム族の集落へ向かった後に呼び戻しても大丈夫じゃないか?と言う機運が高まったのだそう。アズラータさんにも野菜の増産を頼まれたしね。
 俺がベルデットさんに祝いの言葉を述べたら苦笑していた。
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