異世界探訪記

百七日目。エルフ族の集落に延びる道にて

百七日目。
　今日は朝にエルフ族の集落を旅立ち、途中でそこを目指すエルフ族とすれ違いになりながらのんびりと進んだ。
　始めは落ち込んでいたメヌエットさんだったが、昼頃の休憩時に小熊が現れたことで一変した。
　マンハントキラーベア。小熊の種族らしいが実に物騒な名前だ。しかし、それは一般人から見た側面で実際は賢く臆病な大柄な熊だという。
　どうしてマンハントキラーベアなどという種族名になっているかというと、山や森で狩りの途中に遭遇した場合、高確率で周辺の集落や村に襲いかかり家畜などを無視して人々を襲う習性が有るためだ。この為狩猟などには制限がかかるし、山狩りなどを行う場合はこの熊の生息域と被っていないか等も考慮されるという。
　メヌエットさんが言うには、この小熊は集落から北へ一日、北東へ二日行った辺りの縄張りから迷い込んだのではないかとのことだった。なので、周辺にはこの小熊以外マンハントキラーベアは見つかっていない。
　マンハントキラーベアの知られざる習性として、迷い熊を保護すると保護者の食性を見て美味しい物を集めてお礼をしてくれるのだとか。確かに小熊は葡萄をメヌエットさんに押し付けていた。
　休憩が終わり、サヨナラを告げるとその小熊、マリーベルは人語を解すかのように首を横に振り、メヌエットさんの股下に顔を突っ込んだ。

　う、うらやまけしからん。

　体格差で持ち上げることは出来なかったが、最後にはメヌエットさんを肩車にして立ち上がろうとしていたことから一緒に行こうとしていると推測をたてて言葉にしてみると、俺の方を向いて頷いてきた。
　やはり、人語を解すらしい。

　それからはメヌエットさんも持ち直してマリーベルを抱っこして進んだ。
　マリーベルの下半身がブラブラしているが、良いのだろうか？