ある日、始まった物語

どこか儚げな美少女

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備えの章

第16話

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 おれは今やつの儚さをほんのちょっぴりだが体験した

 い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……

 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 おれは奴と一緒に会話をしていたと思ったらいつのまにかキスされた…

 な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…

 催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ…

 ___もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…














 あっ、どうも!、ファーストキスに浮かれてる山田風太郎だぞ!

 んー、でも保育園の時に瑞稀に半ば強制的にチューされたが、アレは無しだ!、ノーカン!、ノーカンだからな!

 そしてキスした直後、心臓のドキドキが止まらなかったな……

 なんていうかドキドキ……、いやドギンドギン…?

 いや、待てよ……これは心臓の高鳴りじゃなくて……


 ___ビギッ……!!


 キスの直後、唇が触れ合った瞬間から指数関数的に心臓が痛みを発していく。心臓を杭で何回も撃ち抜かれたような痛みが荒波のように押し寄せ、俺の肉体を乱暴に犯す。

 意識の裏側に虫を見た、あのムカデがのたうち回っていたのだ。

 ___ビギッ!、ビギッ!

 脂汗が止まらない、愛から離れようにも首に回した両腕の拘束が外れず唇を奪われたまま激痛に苛まれる。

 星を見た、どこかで見た事がある惑星を見たのだ。

 その瞬間、惑星の一部分でクレーターができる程の衝撃が発生したかと思うと一瞬の爆発と共に惑星は砕け散ってしまう。

 しかし、爆発に飲み込まれながらも俺はその時に確かに見たのだ。

 儚い___、そうとしか表現しようのない少女の姿を肉眼で捉えたのだ。

 彼女はまさか……ツ!?

 「愛___ッッ!!?」

 視界が爆風に遮られる、伸ばした手が爆発時の熱風により蒸発していく。皮膚が一瞬にして炭と化していき、意識すら瞬く間に消えていった。










 ___ハッ!

 俺は気絶した愛を抱えるように床に倒れ込んでいた、今の情景は何だったのかッ!?

 震える両手で愛を抱きしめる、先程に見た人物は確かに愛本人である。俺は確信を持って言える事だが、あの惑星の爆発を引き起こしたのは彼女自身である。しかし、理由は分からない上にただの幻覚だって可能性もある。

 しかし___、

 俺は不自然にも先程の出来事は事実であると思った、そして……その事を自然と受け入れて納得している自分に対して恐怖を覚えたのである。

 この少女は何者で何をする為に何故どうして此処にいるのかと疑問を抱いてしまった。

 だが___、

 震えた足で立ち上がる、まずはベッドで彼女を安静にさせる事が最優先である。

 俺は愛を抱えると歩き出した。

 いわゆる、"お姫様抱っこ"というものだ。

 未だに酷く痛みを訴える心臓、先程の情景はきっと俺の中のクソムシの記憶……だろうか?

 現状だけでは分からない事が多すぎる、本当に……笑ってしまう程に彼女に問いただしたい事が多すぎるのだ……。




















 夢を見ていました、誰かが泣いています。

 青信号、渡った途端に赤く染まりました……………交通事故でした。

 病院の廊下、視界は黒煙に邪魔され呼吸ができなくて苦しいです……………不審火でした。

 幼い頃、誰かに榊の枝を渡されました……………その方は酷く泣いていました。

 私は死にました。

 私も死にました、

 私が死にました。

 私だから死にました。

 私なら死にました。

 私でも死にました。

 私こそ死にました。

 私では死にました。

 私だけ死にました。

 私………



















 私ね………

































 ___死にました。









 生まれ変われたら、もしも生まれ変われたら……生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら生まれ変われたら………







 いつか、またお会いしましょう___。







 「ハッ!?、ハァ……ハァ………はぁ…ハァ……」


 悪夢を見ていた気がする、自室のベッドで汗だくのまま目が覚めた。

 本当に……嫌な汗であった。

 怖くなって周囲を見回す、すると寝息を立てて椅子で寝入っている人物を見つけた。


 「フウタロー………」

 安堵した、なんだか安心できたからである。

 自身の震える体を抱きしめる、すごく怖い夢を見たのだ。心臓は未だ不規則に脈打つばかり、凍えた手先から髪の毛の先に至るまで今でも思い出そうとすると震えて仕方がなかった。

 「んっ……あぁ、起きたのか」

 ちょうど目が覚めたのかフウタローは呟いた、呆気に取られてしまい私は反応が遅れてしまった。

 「おっ、震えてるじゃねぇかよ!、やっぱ今日は寒いよな!」

 そう言って笑ってみせた彼に釣られ、私も不本意ながら笑ってしまう。

 「ふふっ、そうね……今日は特に冷えているわね」

 息を吐く、白濁とした空気が窓の表面にかかり白色に染め上げる。

 「ほんとに……冷えているわね…」

 そう、私は震えの止まらぬ右腕を掴んで呟いた。

 「ところでさ、お前に聞きたい事があるんだがよ」

 彼からの一言、私は振り返える。

 「えぇ、何かしら…?」

 私は問いを待つ……。

 「お前についてなんだが、宇宙に行った事はあるか?」

 突飛な質問に言葉が詰まる。

 「宇宙……?」

 本当に何を言っているのだろうか…?

 「例えばの話だが、お前が宇宙のとある惑星を蹴り砕いたって記憶があったりするか?」

 私は沈黙する、そして告げる。

 「以上は管理規約に反する可能性があります、環境を再構築します。状況を再構築します。歴史を再構築します。軌道を再………」

 慌てた様子でフウタローは身構える。

 「待て待て待て、一体何がどうな___」

 しかし、通告は止まらぬ。

 「人類を再構築します。以上を以て___」

 "___世界を再構築します。"

 光が世界を飲み込んだ、フウタローは恐怖に絶叫の声を挙げていた。






















 「ところでさ、お前に聞きたい事があるんだがよ」

 彼からの一言、私は振り返える。

 「えぇ、何かしら…?」

 私は問いを待つ……。

 「あれ……?、何を聞くのか忘れちまったな……??」

 その様子に私は呆れながら呟いた。

 「まさか頭までおかしくなったのですか?」

 全く……、何を言い出すかと思えば問いの内容を忘れるなんて___。

 「いや、たしかに今さっきまで聞こうとしてたんだがな………??」

 不思議そうにフウタローは頭を掻いていた。

 「そう言えば、貴方に返そうと思っていた物がありました。」

 ベッドから降りてモコモコとしたスリッパを履く、それから数歩ほど移動すると衣装棚を開けようとして手が止まる。

 「ここから先は乙女の園です、蹴り上げられたくなければ後ろを向いてて下さいね」

 「おっ、悪いな!、あっちを向いてれば良いんだな」

 扉を開ける、その奥まった場所に立て掛けていた何かを掴み取ると扉を閉めてフウタローの方に向かった。

 「もう、こちらを向いても大丈夫ですよ。」

 「そうか、って……返したい物ってそれかよ!」

 古びた剣をフウタローに手渡した、あの日に彼が奮った一振りの剣である。しかし、剣というには歪んだまま錆びついており、何かを切る事のできる代物には見えなかった。

 「はい、これは貴方が持っておくべき物だと思います。きっと貴方の危機に役立つ筈ですから」

 他人から見ればガラクタもいいところだ、しかし私の目には違って見えていた。

 「何か不思議な力を感じます、それも貴方の巻いているマフラーと同じ雰囲気の力です。」

 マフラーを指差す、それに対してフウタローは不思議そうに呟いた。

 「マジか、やっぱ何か憑いてるのか」

 フウタローは不思議そうにマフラーに触れる、正体の分からぬ力が彼を守るように渦を巻く。

 「はい、ですから大切に手元で保管している事をオススメします。きっと貴方を助けてくれる筈ですから」

 悪い雰囲気は感じない、きっとフウタローに対して友好的な存在が味方として憑いているのだろうと思った。

 何だか、少し安心した。

 「それじゃあ、俺は帰るぞ」

 「はい、またお会いしましょう。あとは銃刀法違反で捕まらない事を祈っておきますね!」

 「ギクッ……、たしかに言われてみれば全くの正論だな」

 フウタローの慌てた様子に少し笑ってしまった、だけど大丈夫だろう___。

 「たぶん大丈夫だと思いますよ、きっと守護霊がどうにかしてくれますから」

 「そうか?、まぁ……それなら大丈夫…かな?」

 私はフウタローを見送った、黒猫の背を撫でながら彼を見送ったのである。

 「ふふっ、今日はなんだか冷えているわね……ねぇ、虎次郎?」

 「ナァ~ォ!」









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