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計画 2
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そんなこんなで私とミアは仲良くなった。私は気軽に話せる女友達が出来たようで、とても嬉しかった。
それに私がミアと楽しげに話しているとあまり殿下が近寄ってこない。彼にも、私の交友関係の邪魔をしては悪いという、気遣いがあるんだろうな。
今日も私は、ミアと一緒に学院内のテラスで昼食をとっていた。
「 最近は、ダリウス殿下とはどんな感じなんですか…?」
「どんな感じって、言われましても…。」
彼女はやたらと私と殿下の関係を聞きたがる。どうしてなんだろう。
「やっぱり、王宮に泊まったりするんですか?」
「婚約が決まった時に、ご報告をしに行ったときの一回のみですね。」
王宮か。あそこは堅苦しくて、あんまり好きじゃないんだよね。
するとミアが緊張した面持ちで、遠慮がちに聞いてきた。
「じ、じゃあ、せめてキス、とかは…?」
「まだですね。」
即答した。まあ、あの王子、顔だけはいいんだけど。
「えーー! うそーっ!」
「ち、ちょっと。声を抑えてください。」
ミアは立ち上がって叫んでいた。テラスにいた多くの生徒の目線がミアと私に注がれる。やめてくれ、視線が痛い。
ようやく腰をおろしたミア。私は話を続ける。
「でも、ほぼ毎日大量の花束や宝石が送られてきます。使用人が驚くので、やめてほしいです。散々殿下にはそう申し上げているのですが。」
私はため息をついて俯いた。その時、ぽつりと漏れた呟きに、私は耳を疑う。
「…いいなぁ。私もダリウス殿下に束縛されたい…。」
は?
私の中で、時が三秒くらい止まった。
いや、まあ、彼は女の子達にキャーキャーいわれるくらいのイケメンだけども。でも、はっきり言って、ないよ。
実際束縛されてみ。そんなこと言えなくなるよ。
けどね、代われるものなら、代わってあげたいよ。
そう、代われるものなら。
私は、懇意にしている商人から聞いた、ある噂を思い出した。
屋敷に帰った私は、すぐに商人を呼び出した。
「姫。そんなに急いでどうしたんだい? 君にしては珍しく今日中に屋敷にこい、なんて言うからさ。まあ、姫のお望みとあればお易い御用、このエデン、北の絶壁にも最果ての砂漠にも行って差し上げようじゃないか。」
「エデン。悪いけれど、今日はあなたのおしゃべりに付き合うつもりはないのです。それと、今度入ってくるときは正門から、お願いします。」
エデンという名の少年は、貧しいさすらいの商人だ。少なくともそういった身なりをしている。値段交渉の上手い彼のことだから、沢山儲けていてもおかしくないのだけれど、いつもぼろのコートに、大きすぎる長靴を履いている。
「へいへい、分かってるって、姫。そうカッカすんな。今日は何がほしいんだ?」
私の部屋窓の縁に腰掛け、エデンは問うた。
「…薬です。この前エデンは、私に話してくれましたよね、人と人が入れ替わることができるっていう、薬。」
「ああー。あれか。龍角の秘薬。」
少しの間があった。エデンは恐る恐る、といったふうに口を開いた。
「…まさか、欲しいなんて言うんじゃないだろうな。」
「その、まさか、です。報酬ならいくらでも用意できます。…出来ませんか?」
私は挑戦的に、エデンの琥珀色の瞳を見つめた。エデンは、にやりと笑う。
「いいよ。やってみせる。それじゃ、またな。」
エデンは笑顔のままー、窓から落ちた。
「あっ、大丈夫!?」
思わず声をあげて、窓から下を覗き込むと。
そこにはもう、エデンの姿はなかった。
そういえば、こういう奴だった。
それに私がミアと楽しげに話しているとあまり殿下が近寄ってこない。彼にも、私の交友関係の邪魔をしては悪いという、気遣いがあるんだろうな。
今日も私は、ミアと一緒に学院内のテラスで昼食をとっていた。
「 最近は、ダリウス殿下とはどんな感じなんですか…?」
「どんな感じって、言われましても…。」
彼女はやたらと私と殿下の関係を聞きたがる。どうしてなんだろう。
「やっぱり、王宮に泊まったりするんですか?」
「婚約が決まった時に、ご報告をしに行ったときの一回のみですね。」
王宮か。あそこは堅苦しくて、あんまり好きじゃないんだよね。
するとミアが緊張した面持ちで、遠慮がちに聞いてきた。
「じ、じゃあ、せめてキス、とかは…?」
「まだですね。」
即答した。まあ、あの王子、顔だけはいいんだけど。
「えーー! うそーっ!」
「ち、ちょっと。声を抑えてください。」
ミアは立ち上がって叫んでいた。テラスにいた多くの生徒の目線がミアと私に注がれる。やめてくれ、視線が痛い。
ようやく腰をおろしたミア。私は話を続ける。
「でも、ほぼ毎日大量の花束や宝石が送られてきます。使用人が驚くので、やめてほしいです。散々殿下にはそう申し上げているのですが。」
私はため息をついて俯いた。その時、ぽつりと漏れた呟きに、私は耳を疑う。
「…いいなぁ。私もダリウス殿下に束縛されたい…。」
は?
私の中で、時が三秒くらい止まった。
いや、まあ、彼は女の子達にキャーキャーいわれるくらいのイケメンだけども。でも、はっきり言って、ないよ。
実際束縛されてみ。そんなこと言えなくなるよ。
けどね、代われるものなら、代わってあげたいよ。
そう、代われるものなら。
私は、懇意にしている商人から聞いた、ある噂を思い出した。
屋敷に帰った私は、すぐに商人を呼び出した。
「姫。そんなに急いでどうしたんだい? 君にしては珍しく今日中に屋敷にこい、なんて言うからさ。まあ、姫のお望みとあればお易い御用、このエデン、北の絶壁にも最果ての砂漠にも行って差し上げようじゃないか。」
「エデン。悪いけれど、今日はあなたのおしゃべりに付き合うつもりはないのです。それと、今度入ってくるときは正門から、お願いします。」
エデンという名の少年は、貧しいさすらいの商人だ。少なくともそういった身なりをしている。値段交渉の上手い彼のことだから、沢山儲けていてもおかしくないのだけれど、いつもぼろのコートに、大きすぎる長靴を履いている。
「へいへい、分かってるって、姫。そうカッカすんな。今日は何がほしいんだ?」
私の部屋窓の縁に腰掛け、エデンは問うた。
「…薬です。この前エデンは、私に話してくれましたよね、人と人が入れ替わることができるっていう、薬。」
「ああー。あれか。龍角の秘薬。」
少しの間があった。エデンは恐る恐る、といったふうに口を開いた。
「…まさか、欲しいなんて言うんじゃないだろうな。」
「その、まさか、です。報酬ならいくらでも用意できます。…出来ませんか?」
私は挑戦的に、エデンの琥珀色の瞳を見つめた。エデンは、にやりと笑う。
「いいよ。やってみせる。それじゃ、またな。」
エデンは笑顔のままー、窓から落ちた。
「あっ、大丈夫!?」
思わず声をあげて、窓から下を覗き込むと。
そこにはもう、エデンの姿はなかった。
そういえば、こういう奴だった。
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