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19.変わった自分 ミレニアside
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ミレニアは涙がこぼれないよう、ぼやけた視界で夜空を見つめた。泣く資格がないのは分かっている。
「昔は仕事自体が、楽しくて仕方がなかったのに。……気づかないうちに、目的と方法が入れ替わっていたのよね。」
ミレニアが殿下に関わる仕事以外を適当に済ませるようになったこと、きっと殿下はお気づきだった。できるだけ長く側に居たくて、他の業務をおざなりにした。
だから、ミレニアを視察に連れていかなくなったのだ。他の業務の大切さを、思い出させるために。そんなことも分かろうとせず、自分は。
「これからどーする?」
ウィッチが問いかけてきた。ミレニアは俯きながら、ボソボソと答える。
「……ゼラがどうなったか情報が入るまで、仕事を休むわ。ウィッチにはその情報を探ってほしいの。」
ウィッチは何故か、不服そうな表情を見せた。
「別にいーけどさ。失敗してたら、どうするの。」
「……。」
ミレニアは何も言えなかった。殿下のお側にずっといるための計画。失敗すれば、もう二度と殿下の前に姿を現すことは出来なくなる。
我ながら浅はかで、取り返しのつかないことをしたと思う。
それほどまでに、ゼラのことが許せなかった。昔の自分を見ているようで、いつも心が掻き乱された。
「ねえ、何で皇太子なの? あんな奴のどこがいいって言うのさ。」
「全部?」
反射的に答えると、はぁ、と大きなため息をつかれた。呆れたようだ。
「……もし、計画が失敗してたら、一緒に逃げようか。」
ウィッチがいたずらっ子のような瞳で、こちらを覗き込んだ。
「はあ!? 何であんたと? それにウィッチ、あんたは忙しいでしょう。」
一陣の風が、ミレニア達の間を吹き抜けた。ミレニアは言い放つ。
「今はインハント王子に雇われてるんだから。」
ウイッチはこの前、皇太子の弟 インハント王子に雇われたと言っていた。ゼラの誘拐を手伝ったのも、ミレニアのためではなくインハント王子に指図されたからだ。
インハント王子は、皇太子と仲が悪い。王位継承権を共に争っているのだ。近衛兵であるゼラを邪魔に思ったとしても、不思議ではない。
「別に、いいよ。向こうだって、使えなくなれば僕を切り捨てるつもりだろうし。」
ミレニアは怒った。
「ともかく! あんたの助けは借りないわ。いざというときは自分一人で逃げる。わたしだってそれぐらいはできるの、馬鹿にしないでちょうだい!」
吐き捨てるように言い残すと、駆け足でその場を去った。残されたのは、寂しそうな表情をしたウィッチ。
「あ……。そんな、つもりじゃ、なかったのにな。」
ウィッチはミレニアの小さくなる背中を見つめた。追いかけても無駄だと知っている。いつだってその瞳には、皇太子しか映していないのだ。
ウィッチは頼りなく手を伸ばした。
「まって」
出てきた声は小さく、夜の闇に消える。足は、その場に縫い付けられたかのように、動こうとしない。
ウイッチは、そんな自分を情けなく思った。
幾多の魔術は使えても、恋心だけはどうにもならないのだ。
「昔は仕事自体が、楽しくて仕方がなかったのに。……気づかないうちに、目的と方法が入れ替わっていたのよね。」
ミレニアが殿下に関わる仕事以外を適当に済ませるようになったこと、きっと殿下はお気づきだった。できるだけ長く側に居たくて、他の業務をおざなりにした。
だから、ミレニアを視察に連れていかなくなったのだ。他の業務の大切さを、思い出させるために。そんなことも分かろうとせず、自分は。
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ウィッチが問いかけてきた。ミレニアは俯きながら、ボソボソと答える。
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ウィッチは何故か、不服そうな表情を見せた。
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ミレニアは何も言えなかった。殿下のお側にずっといるための計画。失敗すれば、もう二度と殿下の前に姿を現すことは出来なくなる。
我ながら浅はかで、取り返しのつかないことをしたと思う。
それほどまでに、ゼラのことが許せなかった。昔の自分を見ているようで、いつも心が掻き乱された。
「ねえ、何で皇太子なの? あんな奴のどこがいいって言うのさ。」
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一陣の風が、ミレニア達の間を吹き抜けた。ミレニアは言い放つ。
「今はインハント王子に雇われてるんだから。」
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インハント王子は、皇太子と仲が悪い。王位継承権を共に争っているのだ。近衛兵であるゼラを邪魔に思ったとしても、不思議ではない。
「別に、いいよ。向こうだって、使えなくなれば僕を切り捨てるつもりだろうし。」
ミレニアは怒った。
「ともかく! あんたの助けは借りないわ。いざというときは自分一人で逃げる。わたしだってそれぐらいはできるの、馬鹿にしないでちょうだい!」
吐き捨てるように言い残すと、駆け足でその場を去った。残されたのは、寂しそうな表情をしたウィッチ。
「あ……。そんな、つもりじゃ、なかったのにな。」
ウィッチはミレニアの小さくなる背中を見つめた。追いかけても無駄だと知っている。いつだってその瞳には、皇太子しか映していないのだ。
ウィッチは頼りなく手を伸ばした。
「まって」
出てきた声は小さく、夜の闇に消える。足は、その場に縫い付けられたかのように、動こうとしない。
ウイッチは、そんな自分を情けなく思った。
幾多の魔術は使えても、恋心だけはどうにもならないのだ。
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