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第十篇第三章 反乱と革命のストリンジェンド
闇蝙蝠ウィルフィンvs影忍シルヴァ
しおりを挟む「問答等、埒も無し…」
シルヴァは覚醒に因って顕現された肩上に
浮遊する卍型の手裏剣を二つとも揃って手を
伸ばすのを合図にウィルフィンに向かって
放つと空中を旋回しながら手裏剣が左右から
迫って来る。
だが、ウィルフィンは刀を構え足首を軸にし
薙ぎ払う様に身体ごと回転させると発生した
漆黒の竜巻に因って手裏剣を弾く。
しかし、シルヴァは其れも見越してか疾風の
ギフトの特性“静寂”を活用してウィルフィン
の懐へと音を消して忍び寄る。
「同じギフトの授与者として、其の攻撃を見逃す道理は無い…」
ウィルフィンは背後の死角から迫っていた
シルヴァの次の一手を予測すると、再び足首
を起点に身体を回転させ懐に深く構えた刀を
斜め上に振り切る様に押し出す。
其の攻撃と共にウィルフィンの持つ刀の鋒
から漆黒の突風が起こるとシルヴァは其の風
に体勢を崩され好機を逃した。
「さあ…貴様が内通者か否か…答えて貰おうか?シルヴァ・ホーリーセンス…」
「我が其の問いに持つ答えは無し…唯一つ、我は影である…此れに尽きる…」
「(否定も肯定もしない…影…不可解さは否めないが…此れ以上カマを掛けて見ても得られる物は無いか…)」
ウィルフィンは心の中でそう呟くとシルヴァ
の姿に自身の瞳を合わせ次の一手の予測へと
入って行くとシルヴァの姿が眼前から消えた
事に多少の驚きの表情を浮かべる。
そして、月白色のオーラを纏いながら頭上を
陥れたシルヴァはまたしても飛ばした卍型の
手裏剣と共に小刀の鋒を落下しながら眼下の
ウィルフィンに目掛けて向ける。
「速度も大した者だな…」
一度は其の姿を見失ったウィルフィンだった
が、直ぐに自身の体勢を立て直す。
そして、身体を捻る様にステップを踏んで
シルヴァの小刀を躱し切ると目にも止まらぬ
速度で刀を振るい二つの手裏剣をいなす。
更には身体を旋回させた勢いで放った蹴りを
シルヴァの腹部へと叩き込んだ。
地面を勢い良く転がったシルヴァは其の勢い
を止めながら何とか受け身を取ると膝を着き
ウィルフィンを見据えた。
しかし、其の直後シルヴァは何故か片耳に手
を当てると何かを聞き取る様な姿勢を見せて
瞳を閉じると次の開眼に合わせて立ち上がり
ウィルフィンに向けて口を開く。
「急用だ…此処は退かせて貰う…」
「貴様…何を勝手な…」
シルヴァの言葉に反応を見せたウィルフィン
だったが次の瞬間にはウィルフィンの眼前に
シルヴァの姿は既に無かった。
不穏なる撤退にウィルフィンは思案を巡らせ
“内通者”として反乱軍にも情報を提供して
来た人間とシルヴァの同一人物説を訝しむ。
「しかし、エルヴィスとノアの戦いは止まらぬだろう…思わぬ横槍だけは防がねばならんか…」
ウィルフィンはそう言うと納刀して次の舞台
へと足早に駆けて行った。
反乱軍ウィルフィンvs革命軍シルヴァ。
両者の戦いはシルヴァの撤退に因って思わぬ
決着を見せる事となった。
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