RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十篇第四章 反乱と革命のフェローチェ

黒白に別れた運命

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「探したわ…でも会いたくは無かった…はぁ…貴女と対峙をするのは此れで最後よ…」


「ええ…覚悟はして来たつもりですわ…でも、どうしてでしょう…?いざこうして…対面すると…ね…」



向かい合った黒衣の女性と白衣の女性。

白と黒に別れたティアとアドリーの親友同士
の対峙に緩やかな風が流れる。

揺らぐ想いを隠す事無く言葉にした両者に
とって此のマッチアップは避けられない。

そう覚悟しながらも本心は戦いたく等無い。

其れはティアが濁す様に言い淀んだ最後の
言葉と其れに反応したアドリーの頷きから
容易に読み取れる事が出来た。

そして、二人は静かに全く同じタイミングで
小さく囁く様に声を発した。

其れは会話等では無く決戦の始まりを告げる
決意の言葉となってしまう。



「氷雪覚醒…“ 氷雨弓騎レインアーチャー”……」


「流水覚醒…“ 煌涙流星トゥインクルスター”……」



互いに覚醒を遂げる。

アドリーはリボン、手袋が空色の氷を用いた
モノへと変わり肩や膝に氷の防具を纏いお尻
から丸まったリスの尻尾が生み出され氷の弓
を構えティアに視線を向ける。

ティアは星を散りばめた純白に染まるロング
スカートのドレス姿となり頭に猫をモチーフ
とした耳、頬からは猫らしい毛が張る様に
生えると槍を構えアドリーを見遣る。



「アドリー…ごめんなさい。貴女に恨みは勿論ありません…ですが、わたくしは心の底からノアを愛しています。彼の為に…わたくしの全てを尽くすつもりですわ…」



アドリーはティアの思わぬ告白にほんの少し
頬を赤らめたがティアがノアを好いている事
など十年も前から知っていた事だった。



「恋は盲目…はぁ…気持ちは痛いほど解るわ…」


「だから…心苦しいですが…アドリーにもエルヴィスへの想いがあるでしょう…ですから他の誰かでは無く…わたくしもアドリー…貴女を探していました…」


「そうね…行くわよ?ティア・ミルキートライヴ…!」


「全力で御相手致します…アドリー・エイテッド…!」



先に仕掛けたのは反乱軍参謀アドリー。

氷雪のギフトの特性“造形”に因って右の手に
氷の矢を精製すると其れを同じく造形された
弓から放って見せる。

ティアは撫子色の槍を旋回させ其の氷の矢を
弾いて見せるがアドリーは矢を惜しむ事無く
精製しティアを狙い続けた。

ティアも身体の前で三叉槍をグルグルと回転
させ流水の渦を顕現させると全ての矢を弾き
落としながらアドリーへと歩み寄る。



「(痛ッ……はぁ…今ぐらい保ってよね…私の身体…!)」



矢を放つ毎にアドリーの肩には激痛が走って
いるらしく度々顔を歪めている姿をティアは
見逃してはいなかった。

しかし、今、情けは掛けられない。

唇を噛み締めながらティアはアドリーとの
戦いに浸って行くのだった。
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