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第十一篇第二章 標的包囲戦
蒲公英色の魔法使い
しおりを挟む「わぁ…すっごい地震だったねぇ、ポアラちゃん」
「う、うん。それはそうなんだけどさ…」
「なぁに??」
困った様な表情を浮かべたポアラを前にして
少将エルムは笑顔で首を傾げている。
「戦うんでしょっ?なんかアナタ…ゆるすぎると思うんだけどっ……」
「あはは、良く言われる~」
「な、なんかさぁ。革命軍でも反乱軍でも帝国軍でも…みんなコレっていう戦う目的?みたいなのがあると思ってたのっ…アナタからはそういうのが見えて来ない…!」
ポアラの言葉を聞きながらエルムは何かを
思い出した様に吹き出すと腹を抱えて笑い
始めてしまいポアラは困惑する。
「な、なにがおかしいのよっ!?」
「あははっ、ごめんごめんっ…違くてね?エルムちゃんが帝国軍に入った理由を思い出しちゃって…」
涙を流す程に笑っているエルムの姿を見て
ポアラの困惑具合は更に上がって行く。
「エルムちゃんね?間違えちゃったの。美味しいクレープ屋さんの行列だと思ってワクワクしながら並んでたら帝国軍の選抜試験でさぁ~」
「……え?」
呆れ返った様に肩の力が抜けてしまった
ポアラはエルムの言葉を必死に咀嚼する。
「いや~…参っちゃったよねぇ、あはは。でもさあ~…ポアラちゃんとエルムちゃんって似た者同士な気がするのっ」
「まって!どこがよっ!」
「ポアラちゃんはなんの為に戦うのっ?」
唐突なエルムの問い掛けに混乱がピークに
達したポアラはほんの少し黙り込むが心の中
の言葉を整理して口を開く。
「……友達のためっ!バカげてるなんて言ったら許さないからっ!」
「あはは、なんでバカげてるなんて思うのっ?すっっごくステキな事だよ。エルムちゃんもね、始まりは変だったけど帝国軍のみんなが好きっ。だからお国の為にガンバレるのっ」
ポアラは少し反省をする。
自分も言われてみればそうであった事を今に
なって改めて思い出していた。
過去の傷や恨み、未来への大義、様々な想い
が交錯し戦いの止まぬ世の中で一人きりに
なってしまったポアラに寄り添ってくれた
仲間達の存在があったからこそ生きられた。
仲間や友達の為に何かをしてあげたくなった
事はポアラの心の奥底からの本音である。
だからこそエルムに対して戦う目的が見えて
来ないなんて発言に対しての反省をした。
両手で頬を強めに叩くと息を吐いて腰元に
備えていたナックルダスターに手を掛ける。
「ごめんっ!仲間とか友達の為にガンバレるのはアタシもステキだと思うっ!だから…アタシも友達の為にひいて上げるコトはできないから…勘弁してねッ!?エルムちゃんっ」
「わぁ、やっと名前呼んでくれたねっ!嬉しくて胸がドキドキするよっ!ポアラちゃんっ!」
笑顔を弾けさせたエルムは魔法使いの様な
ステッキを持つと蒲公英色のオーラを纏って
構えを取りウインクをして見せた。
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