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第十一篇第二章 標的包囲戦
宝精ポアラvs魔導士エルム
しおりを挟むふわりと身体を浮かせる様に回転しながら
ステッキを振ったエルムの元から蒲公英色の
雪の風船がポアラの周りを揺蕩う。
「なにこれっ…」
「触れた相手や物質の動きを減速させる氷雪のギフトの特性のひとつ…“淡雪”だよ~。気をつけてねっ、ポアラちゃんっ」
「余裕かましてくれちゃって…もうっ!」
ポアラが取った武道の構えから正拳突きを
眼前に向かって振るうと翠色の大地のギフト
が呼応して雪の風船に重力を掛ける。
其れにより風船が地に沈み大地に触れると
弾けて消えると共に積雪を起こす。
「いくよっ!」
ポアラが一気に地面を蹴るとエルムに向かい
間合いを詰めて行く道中でポアラは其の積雪
にほんの少し足を取られる。
「まさかっ…」
「風船が消えてもさ~…特性“淡雪”の効力はつづいてるんだよ~?もうっ、教えてあげたのになあ」
ポアラの動きが減速し緩慢な足の運びとなる
のを確認したエルムがステッキを振るう。
すると、蒲公英色の雪が星の形を象り手裏剣
の様な動きを見せながらポアラを襲う。
其の数は、何と数十個。
蒲公英色の雪で出来た星形の手裏剣がまさか
の鋭利さを持ってポアラを斬り裂く。
叫び声と共に肩や腕、脇腹から鮮血を舞わせ
ポアラが辛そうに呻く中、エルムは次の攻撃
を仕掛けようと動く。
「気付いてるっ?氷雪のギフトの特性“凍結”と違って“淡雪”は…相手の波動の流れすら減速させるのっ!かわせるっ?ポアラちゃんっ!!」
ステッキを振り上げ更なる追加攻撃を仕掛け
ようとしたエルムは此処で違和感を覚える。
「へぇ、ポアラちゃん。すっごい機転だねっ!」
「動きがノロくなって…かわせないならっ。エルムちゃんの動きも同じ様に止めちゃえばいいでしょっ?」
ポアラはエルムの放った手裏剣にも淡雪の
特性が付与され自身の身体が減速して行く事
をいち早く勘付いていた。
だからこそ、其の時点で大地のギフトの特性
“重力”を仕掛けていたのだ。
互いに動きを止められた二人は緩やかな流れ
で波動を身体に流し込みほぼ同じ瞬間に相手
の特性を破って見せる。
すると、次の考えも一致するのだった。
「氷雪覚醒…“ 泡雪魔導”っっ!」
「大地覚醒…“宝石妖精”ッッ!!」
ポアラとエルムの二人が覚醒へと至る。
エルムの覚醒“ 泡雪魔導”。
服装がペンギンの色をモチーフとした白と黒
の氷のドレスへと変化する。
そして、蒲公英色のマフラーを巻き帽子も氷
で出来た可愛らしい形へと変わった。
ポアラの覚醒“宝石妖精”。
翠色の妖精の翼と肩布が無く胸にリボンを
当てた膝上スカートのドレスを着用。
そして、エメラルド色のナックルダスターが
手と同化し宝石の拳となった。
ポアラとエルム。
二人の戦いが更に加速して行く。
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