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第十一篇第四章 未来へ灯す希望の光
未来を担う若き二人
しおりを挟む一方、イヴァンリスの長城内に身を潜める事
となったロードとシェリーは内部の個室の中
で壁に寄りかかり座り込んでいた。
其の二人からは疲労の色が色濃く見えており
俯くロードの手をシェリーはずっと自身の手
で握り続けている。
そして、シェリーが意を決して口を開く。
「ロード様…お辛いのを良くわかります。私も……ロード様達に守られてばかりで気が滅入るというか…情けない気持ちを抱え込んでいましたから…」
「シェリー…?」
「それでもいつか私が皆様をお守りするんだと…前だけは向いていますよ?ロード様がいつしかくれた言葉が支えとなって…」
ロードは何度も心が折れそうな程に気持ちが
落ち込んでいたシェリーに寄り添って来た。
其の想いの根本は自身も王族の出である事が
スタートだったのかもしれない。
しかし、其の立場の中で苦悩と戦うシェリー
の助けになれないかと考えていたのは本当で
ロードから見るシェリーには他の皆とは違う
感情が溢れていたのだろう。
「私とちがってロード様は無力ではありません…今回は戦う術を持たなかっただけなのです…皆がロード様を護ろうとした気持ちはロード様と接していればその気持ちは痛いほどにわかりますから…」
「シェリー…。ありがとうよ…でもな?強さって戦うチカラだけなんじゃないと思うぜ?」
「えっ…?」
漸く自分の言葉を緩りとだが話し始めた俯く
ロードの言葉にシェリーは耳を傾ける。
「誰かのコトを本気で想えるシェリーは…誰にも負けないチカラを秘めてんだって感じるんだ」
俯いていたロードの目線が上がる。
そして、二人の視線が交わりほんの少しずつ
だが二人の表情に笑顔が戻って来た。
「アイツ等は…そう簡単にくたばらねぇ。俺はそう信じてっから…待とう…今は…」
「……はいっ!そして…次は…私達が皆様をお守りしましょうっ!」
「ははっ…そうだな。ありがとう…」
小さく呟いた感謝の言葉と姫の決意の言葉が
下を向きがちだった二人を更に未来へと押し
進めて行く事が伝わる。
開国を求めプレジアとバルモアの兄弟国の
復活を目指すバルモアの若き王女シェリーと
様々な因縁と因果の中でもがき苦しんで来た
混血のプレジア王家後継者ロード。
二人が今、正に繋ぐ手のひらこそ未来へ灯る
新時代の灯火なのかもしれない。
其の灯火は強い正面からの強風に晒されて
いるのは今回の戦いを見れば百も承知。
だが、二人だけでは無い。
其の灯火を消さぬ様に身を呈して荒れ狂う風
から護ろうと動く人間達がいる。
誰かに護られながらでも、今はいい。
小さく弱い灯火が強く大きな炎となる其の日
を待ち望む人間達の為にも一歩ずつ進む。
そして、強く燃え上がった其の炎こそが天に
立ち昇る太陽の様に時代を照らすのだ。
其れこそが“夜明け”なのかもしれない。
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