RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第四章 天下分け目の大戦・参

掲げる士道の下で

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其の異名“暴刃ぼうじん”通りの戦いを見せるギルド。

其の攻撃的な乱舞を華麗に凌ぎながら自身の
好機を強かに待つドーマン。

剛と柔とも言える程に戦い方に差を持つ両者
が同じくして持つ侍の流儀。

其れは、士道と呼ばれるモノ。

刀鍛冶に精を出し、プレジアに大きな歴史を
積み重ねて来た名刀の数々を他国の文化に等
押し潰させぬと考え武器を携えた者。

戦争地域へと生まれ、民の為に小紫色の羽織
を翻し戦う者達に憧れ、努力一つで其の地位
を手に入れ憧れを形へと昇華させた者。

戦う理由は、其々違う。

しかし、戦場に身を置いた侍達の掲げる士道
とは終には同じ終着点を迎える。

此の身、此の心が如何に折れ、砕けようとも
戦いを止めず更なる未来を切り拓く事。

侍の魂は、正に此処に在る。

刀が触れれば侍同士、通ずる事が在る。

今其れを、互いにぶつけ合っている。

戦いの行方は、神のみぞ知る、だ。



「(先程の会話から何かが変わっている。いや…変わっているというよりは何かこう…改めて戦う目的を思い出したかの様な……)」


「何をゴチャゴチャ悩んでやがんだよッ…戦いだぜェ!?迷いや悩みなんて捨ててテメェの魂、ぶつけて来いやッ!!」


「(悩み、だと?表情から読み取ったか……いや其れにしても何とも図星……野生の第六感という物か……?)」



ギルドが一度、ドーマンから距離を取る。

其れを見たドーマンにギルドが口を開いた。



「テメェが迷ってるのは俺の固有特性のせいだッ。“読心”ってぇんだよ……俺の覚醒の固有特性はよォ…!」



ギルドの覚醒の固有特性“読心”。

此れは心の中に浮かべた言葉一つ一つを手に
取る様に理解するのは不可能だが其の言葉の
内に秘められた感情を色として知る事が出来
其の色はギルドにしか見えない。

例えば赤色の心が見えるなら切り返して反撃
を狙っている、また青色の心が見えるのなら
距離を取り冷静に場を支配しようとする。

そんな風にギルドには心が読めるのだ。

しかし、ドーマンは不思議と落ち着きの在る
表情を浮かべてギルドに視線を向ける。



「成る程……よもや此の時の為に発現したチカラだったという訳か……」


「あァ!?何言って……んなッ……オイオイ、何も見えなくなったぜ!?どうなってんだ、こりゃあ……ッ…」


「拙者の固有特性“消陰”。心を閉ざす固有特性だ………使い道の解らぬ特性だとは思っておったが貴公の様な特性持ちがおるとは思わなんだ……」


「…………って、んなのアリかァ!?つまりは俺もテメェもこれで特性…何の意味も無くなったってコトじゃねェかッ!!」


「………其の様だ」


「…ま、まあいいや。正面から斬り倒しゃあ何の問題もねーんだからよッ!!」



とんだ運命の巡り合わせ。

両者の対決がまた平行線へと戻って行く。

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