RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第十章 天下分け目の大戦・玖

飛竜シャーレvs獄獣マッド

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青龍刀を構えて前へ出るシャーレ。

其れを待ち受けるマッドという構図で戦いは
再開されて行く中、マッドは思案を巡らせる
とシャーレの戦い方を分析する。



「(流水のギフト授与者の戦い方は大まかに分けて三パターンであろう…)」



一つ目は、特性“連撃”を用いた広範囲攻撃の
ゴリ押し特攻型である。

そして二つ目は、特性“泡沫”を用いて相手を
撹乱しながら戦うトリッキー型。

最後の三つ目は、特性“淡雪”を用いて防御に
振った受け流し型である。

マッドは初手のシャーレの動きを見て恐らく
戦法は二つ目のトリッキー型だと予想した。

であれば、受けて立つマッドが注意を払う事
が必要なのは正面では無く周囲。

柳色のマグマを身体に宿して三百六十度全体
を注視した迎撃スタイルで迎え撃つ。



「(…煙たい程に冷静沈着…既に泡沫への対処は見切られている…ならば、戦法を変えて挑むしか無いか…)」



シャーレはマッドの行動を読み切った。

そして、体内の波動の流れを変化させて眼前
のマッドに向けて攻め込んで行く。

一抹の不安を抱えながらー。



「泡沫から連撃へ…攻め方を変えたのは褒めてやろう。だが、厳格に申せば其れは…悪手だ、一般人…」


不安は確信へと変わっていたー。

各々のギフトに備わる三つの特性。

鍛錬を積み、経験を錬磨し其の三つを手足の
様に扱う事は可能であると示されている。

しかし、其のバロメーターには個体差が在り
伸び易い特性と伸び難い特性が存在する。

其れが、得意特性というモノだ。

三つを高い領域に鍛え上げる事は可能で在る
が今、シャーレが相手しているのはギフトの
チカラを高め上げた強者である。

得意特性以外をメインにして付け焼き刃の様
な状態で倒せる程、甘くは無い。

マッドは鉈では無く、掌を開き差し出した。

其処から高密度のマグマの奔流が生み出され
真っ直ぐシャーレを呑み込んで行った。



「…しまッ……たッ…」


「特性“泡沫”に振っていたら回避は出来たであろう…しかし、貴様は読まれていると悟り“連撃”という広範囲攻撃を狙った…さて、頭が周り過ぎるというのも不憫なモノだ」



マッドの言う通りだった。

シャーレは身体をマグマに呑まれ何とか波動
を流して其処から這い出たモノの柳色の焦熱
は其処から大爆破を始めた。

シャーレの身体が爆炎の中に掻き消えた。

すると、マッドは鉈を下ろし静かに其の光景
に瞳を向けて次の行動へ注視する。

そして、感じた。

シャーレの体内の波動が急激に錬磨されると
マントの様な翼を腕ごと広げて空へ飛び立ち
爆煙の中から舞い上がったのを。

空に浮かんだシャーレのこめかみから後頭部
に向けて伸びる角が顕現した。

そして、肘や膝、身体の関節を護る様に防具
が次縹色に染まり身体に纏われて行く。

マッドは、怪訝な表情で空のシャーレへ視線
を飛ばし其の動きを注視していた。
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