884 / 954
最終篇第三章 “兄弟が背負う哀しき因縁”
“兄”と呼び続ける其の理由
しおりを挟む「まだ兄なんて呼ぶのかよォ…ホントに緩ィ野郎だなァ…テメェはァ…」
「奥に追いやり仕舞う事が出来たとしても俺にとって貴方は兄でしか無い…家族、同じ血を通わせるという事はそういう意味だ…」
「ヒャハハ…あァ…うざってェうざってェうざってェなァァ!!要らねェんだよォ…そんな腐り切った繋がりはなァァ!!」
「どう言葉を発しても俺も兄さんも未だ天涯孤独には成りきれないからこそ出る言葉にしか聞こえない…だから、俺は…兄さんと違って…俺のやり方で貴方を止めるよ……」
ノアの身体に銀色の波動が渦を巻く。
そして、此方もまた身体に変化が起こった。
後ろ髪が狼の尾の様に変化する。
身体の関節総てに銀色の防具が追加され口元
にも鋭い牙が生え、眼が狼の瞳へと変わる。
背に渦巻く風を帯び、刀もまた銀色の嵐風を
纏って変化した形となった。
「疾風覚醒……“ 銀嵐狼牙”……ッッ!!」
クオンタムの兄弟、其の覚醒が相見える。
そして、互いの覚悟の違いが其のチカラ同士
をぶつけ合いながらヒシヒシと伝わる。
「止める、だと…?俺をかよォ…ノアッ…」
「ああ、そうだ。生き死にだけがしがらみを破る術だと思わない事だ」
「マジで緩ィな…そんな甘ったれた覚悟で俺の前に来やがったか…」
「其れが自由というモノだ。俺は止まれない…同盟軍の旗の下、俺達が築き上げた革命軍の旗印も靡いている…其の旗に込められた意味は…希望と其れを叶える事…そして常に前進を止めない事…此れこそ、俺達が求め続ける“自由”だ…ッ!!」
「関係ねェって言ったろォ…同盟軍も革命軍も政府すらも…俺にとってはよォ…」
「いいや、兄さん。背負うモノはそんな安易に拭い去れない…相手の想いを凌駕し続けて行く事でしか時代は変わらないんだ…だから兄弟としても因縁の相手としても…其の想いを置いて戦う事は出来ない…」
ノアの言葉に熱が帯びる。
其れをアークは不思議と聞き入れる様に此処
で反応するのを止めたのだ。
「兄さんはきっと、こう言うと思う。俺の此の気持ちは“正義”じゃない、と。だがな、俺から見れば此の天下分け目の大戦争に其の身を置く人間に叶えたい夢や貫き通したい正義が無い者は居ないんだよ…。だから、俺は兄さんの其の正義も憎しみも総て背負って行く…勝った者勝ち…其れで良いだろう?」
黙っていたアークが突如として不敵な笑みを
浮かべながら口を開いた。
「ヒャハハ…ッ…良く喋る様になったじゃねェかァ……確かに正義じゃねェよ。だが、俺にも譲れねェモンがある…死ぬ気でぶつけ合って勝ったモン勝ち…悪くねェッッ!!」
互いの波動が渦を巻いて白柱ノ塔を包む。
千歳緑色と銀色、其の波動がぶつかり周囲を
呑み込む程の空間が生まれて行った。
60
あなたにおすすめの小説
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる