RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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最終篇第三章 “兄弟が背負う哀しき因縁”

譲れぬ想いを其の刃に宿して

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弟ノアと兄アークが共に地面を蹴り上げる。

覚醒同士でぶつかり合う此の激突は序盤での
衝突とは格の違う圧を空間にもたらした。



「ヒャハハ…漸く良い眼になったじゃねェかよォ…ノアッッ!!」


「兄さんとの激突も…奇しくも同じ道を辿る事に成り夢半ばで消えた両親の想いも…此の戦いの結末が彩る…良い人生だったと呼べるモノにする為に俺は前へと進む…ッ!!」



互いの刃が弾かれ出来た空間の中で持ち前の
速力を生かしてノアが動き始める。

アークの四方八方を高速移動し撹乱を起こす
作戦へと出たノアの動きに間に合う事は無い
にしても眼を右往左往させるアーク。



「どんな速力で撹乱しようがなァ…俺の身体に傷を付けられなきゃ意味がねェんだよォォォ!!!!」



其の通りだった。

高速移動から一転、アークの懐へと潜り込み
放たれたノアの一撃もアークの硬化され防御
を極めた身体に弾かれる。

其処に、待ってましたとばかりに独自の狙い
で蠢く捕獲肢の鎌がノアの身体に細かい傷を
付けて行った。

だが、其れも擦り傷とばかりにノアは速度を
緩めずに何度となくアークへと挑む。



「(此の圧倒的な防御力を破るには、並大抵の攻撃力じゃ無理だ…ならば此の儘、速力を高め続けて同じ箇所に攻撃を打ち込み、一点突破を仕掛けるしか無い…)」


「(狙いはバレバレだァ…右肩付近にのみ攻撃を繰り返し一点が脆くなった所を打ち破る作戦だろうよォ…だったら俺は…此の一点にのみ集中して攻め入ったテメェを返り討ちにしてやるよォ….)」



ノアの狙いはアークには筒抜けだった。

だが、そんな事はノアにとっても百も承知で
あり其の上で此の作戦を全うする事に意義が
在るのだと考えていた。

ノアの作戦は、其の先を行っていた。

波動を集中させて防御に振っているアークを
崩して其の波動の流れを断つ事。

其れを可能にするのはノアの速力だ。



「(いや…ヒャハハ……テメェ、こんなに強くなってやがったか…一見、速度ってのはァ…攻撃力とは乖離されたモンと思われがちだが、単純な話だ…衝突の威力は、重さか速度に委ねられる…パワー型じゃ無い分、テメェも其れを狙って……)」



アークの心の声が途切れる。

其の理由は眼前に迫るノアの脅威だった。

其の速度は、神速の域へと到達して破壊力を
段々と増して行っている。

そして、こうもアークは考えた。

此の踏み込みなら、殺られるー、と。

圧倒的な硬化のチカラを持つアークが反射的
に見せた動きにノアは笑みを浮かべる。



「守ったな…守るという事は、斬られると思ったんじゃ無いのか…兄さん…」



アークは反射的に鎌でノアの一撃を防いだ。

其の理由は、説明は難しいモノだが本能的な
モノで戦士にとっては必要不可欠な感情。

ノアの言葉は、的を得ていたのだ。

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