RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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最終篇第四章 “国家が直面する岐路”

熱砂の巨人

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「開き直るのも大概にせんかッ!!そんな後出しでワシが納得するとでも思うたかッ!!ストラーダよッ!!」



ガズナの身体から放たれたのは熱砂の波動。

其れがまるで砂煙となったストラーダの身体
を奥へと弾き飛ばすと解放の刻を迎えた。



「大地覚醒……」



其の姿は正に異形、そして巨兵。

全身が柔らかな粘土の砂に覆われて巨大化を
果たすと体躯は五メートルを凌ぐ。

流れ出る流砂の身体から作り上げられた顔の
位置には赤銅色の目が赤く光っていた。




 砂漠巨兵デザートジャイアントッ!!」



砂に覆われ見えない口元からの声は更に低く
まるでエコーが掛かった様に不気味に響く。

そして、巨躯を動かす為に失った速度を補う
かの様な強烈な平手打ちがストラーダの頭上
を襲うと其れを躱したストラーダも其の威力
に驚嘆の表情を浮かべるのだった。



「あんなモン…一発食らったらお釈迦じゃねぇかよッ!?」



ストラーダはそう言いながらも空中へ跳ぶと
紅金色の飛ぶ斬撃をガズナに向けて連発させ
其の体躯の反応を確認する。

放たれた斬撃の幾つかは熱砂の巨躯の手足を
掠ろうかという場所へと飛ぶ。

しかし、其の斬撃は正に糠に釘。

砂の身体を貫通するも一瞬で新たな熱砂から
手足を形成し何事も無く攻撃を抑えた。



「手足を斬り落とせねェならこっちでどうだッ!!」



ストラーダが次に放ったのは狙いをガズナの
巨躯の真ん中に定めた烈火の飛ぶ斬撃。

其れに対する反応は先程とは大きく違った。



「其の斬撃は捻り潰してやろうぞッ!!」



ガズナの低い其の声と共に飛ぶ斬撃は巨躯の
手前にて小さく圧縮され掻き消えた。

其れを見て、ストラーダは驚きを顔に出す。



「フハハハ……確かに此の巨躯の心臓部こそワシの覚醒体に傷を与える唯一の箇所じゃ。じゃがな…其処にはワシの固有特性が防御壁を張っておると思えい!!」



ガズナの固有特性“圧縮”。

其の特性は相手の波動とギフトに依り形成を
された攻撃を圧縮し掻き消すチカラだ。



「死角無し、そんな所か?」


「主がそう思うのならそうなのじゃろうて…主はもうスピードで撹乱する他、戦い方は無くなった…後は主の体力が尽きるのを待てば良いだけじゃ!!」


「ヘッ…撹乱だと…?」


「……何が可笑しい…?」



ガズナの言葉を笑い飛ばしたストラーダから
嫌な気配を感じたガズナが訝しむ。

そして、ストラーダが人差し指を立てて玉座
の背後にある家紋が描かれた壁画を指した。



「何の真似じゃ?」


「ケーニッヒの初代国王が見せた覚醒は…俺等の息子ロードが引き継いだプレジアの守護神“鳳凰”だってのは有名な話だよな…」


「……其れが?」


「初代国王が鳳凰なのに…家紋に描かれてるのは鳳凰じゃない神話の生物なのか…疑問に思った事は無いか?」



ストラーダがニヤリと笑みを浮かべた。

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