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最終篇第四章 “国家が直面する岐路”
家紋に描かれた神話の生物
しおりを挟むガズナは何の話かと言葉を失った。
其の上でストラーダは伝記の話を始めた。
「ケーニッヒ王家の初代国王は当時二十歳の歳で王位に着いたらしい。だが、考えても見ろ…そんな若い男があれだけの一族を纏め上げて十五年にも及ぶ騒乱に臨んだと本当に思うか?いや、有り得ねェよな…そん時…初代は五歳だぜ…?」
ストラーダの話は緩りと続く。
「紛争を仕掛けたのは初代の父、其の紛争の最後に伝説的な死を遂げた男だ。其の男が見せた覚醒があの家紋の生物だよ…」
ガズナは先の見えぬ話に飽き飽きとした格好
で嫌な笑いを浮かべて話を遮った。
「勝てぬと解って昔語りでも始めたのではあるまいな…ストラーダよ」
「……俺は感じたんだ」
ストラーダは構わず、話続ける。
其れは不確定にして信じるも信じないも各々
に託される逸話の話がメインだった。
「同じ時代に同じ場所で希少種である閃光のギフトと暗黒のギフトの授与者が揃い…其の二人が同盟軍と政府軍に別れた…。何かが起こる予兆はどう考えてもあったよな?」
「フハハハ…其れは信じざるを得なくなった様じゃ…逸話も馬鹿には出来ん。でじゃ、其れが何だと言うのじゃ…!?」
「まあ、待てよ。そんな中で俺の息子…しかも冷戦中のプレジアとバルモア…二色の血が混ざったロードが…初代と同じ鳳凰のチカラを三百年振りに現世に目覚めさせた…」
ストラーダは家紋を眺めながら運命は確かに
時代の中に降り注いでいると感じる。
そして、口を開くと共に波動が流れ出す。
「三百年前、ケーニッヒの時代を創り上げた初代の父、其の男のチカラもまた時代を超えて何の因果か此処に顕現してたんだよッ!」
「……何じゃと…?」
「此れもまた運命だ…。三百年の時代を創ったチカラが双方とも終焉の此の時期に俺達の血脈に現れた……時代は変わるッ!!其の予兆はバッチリだぜ!?ガズナッ!!」
此の話には、背後のランスやガスタ。
サーラ迄もが驚きを隠せては居なかった。
更に事細かくストラーダを調べ上げたガズナ
でさえストラーダ自身のチカラに調べは及ぶ
事は無く寝耳に水の状態だったのだ。
「業火覚醒……」
ストラーダの身体が紅金色の炎に包まれる。
そして、心の中でこんな事を考えていた。
「(二十年以上…使ってやれなくて悪かったな。まさか…拗ねたりしてねぇよな?頼むぜ…チカラを貸してくれッ!!)」
ストラーダの両腕が紅金色の炎から解放され
其処には鳥の毛並みを模したアームガードが
装着されていた。
そして、首元の襟は逆立つ獅子の鬣かの様に
炎を宿し揺れる陽炎の様に靡いている。
更に全身が紅金色の鎧を纏うと背中には六本
の刃がまるで翼の様に宙に浮いている。
其の刀の形状は先程迄、ストラーダの手の中
に握られていた刀と同じ形状だった。
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