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最終篇第六章 “導かれる魂”
限界点での集結
しおりを挟むロストは眼前に立ち塞がる新手達を其の眼で
撫でる様に見渡すと、口を開く。
「……随分と派手な登場だが、もう…ボロボロじゃねェか」
ロストの言葉に反応した四人は既に覚醒状態
を披露して現れていた。
だが、其の言葉通りに四人は既に荒い息遣い
で吐息を漏らし、傷だらけの身体から容易に
想像する事の出来る痛みを隠していた。
「ボロボロやと?そら、戦争やからなあ…必死に戦って来たんやで…?ボロボロなんも当たり前…それが戦士の正装っちゅうヤツやろ…ボケがァ…!!」
食って掛かるシグマの言葉を聞いてシャーレ
ポアラ、レザノフは笑みを浮かべた。
「フフ…強くなりましたね。シグマ…其の心意気、私も乗らせて頂きましょうか」
「うんっ!!お寝坊さんが起きるまで全身全霊でアンタを止めてやるっ!!」
「………さあ、行こうか。天運は必ず私達に味方をしてくれるさ」
シャーレの言葉が起点となった。
王女の涙に呼応した魂が四つ。
圧倒的な強者であるロストを目掛けて天空に
聳える天守の地を蹴り上げる。
其の背を目に焼き付けた一人の少女は目線を
切ると両の手の平を差し出して地に仰向けで
倒れるロードに桃色の光を送り込む。
「……皆様っ…頑張って……私は私のやるべき事、為すべき事に…全力を……」
涙を拭い真っ赤に腫れた瞳をキッと見開いて
シェリーは倒れるロードに閃光のギフトの中
の特性の一つ、“治癒”を行使する。
「閃光のギフトの回復のチカラ……テメェ等はアイツが立ち上がる迄の壁役かよ」
「其れが、何か?」
レザノフの覚醒“ 装鋼銃士”。
鈍色のライフルを二丁携えて、硬化のされた
弾丸を乱射しロストに撃ち込んで行く。
「無意味、だって言ってんだよ」
ロストは左の掌を差し出すと其処から渦巻く
暗黒の闇を創り出すと放たれた弾丸を一つと
残らず呑み込んで行く。
此れは暗黒のギフトの特性“消失”。
物質を言わばブラックホールで呑み込み其の
存在自体を消失させるチカラだ。
「無意味かどうかは何れ解る。貴方には信じられないかもしれないが…私達はロードが立ち上がり勝つと信じているよ…」
背後から水の分身と共にロストへと青龍刀を
用いて斬り掛かるのはシャーレ。
其の覚醒は“ 雅清飛竜”。
ワイバーンをモデルとした腕にマントの様な
ヒラヒラとした形状の翼、盾を纏う姿。
「何処ぞの宗教か?くだらねぇ」
ロストは振り返ると大きく大剣を下段を通し
振り上げると暗黒色の地を這う斬撃が背後を
奪い攻めて来ていたシャーレと其の分身体を
纏めて呑み込み吹き飛ばす。
しかし、二体のシャーレは共に分身。
其の闇の奥に佇む本体とロストの視線が其の
闇を挟んで混じり合っていた。
そして、低い姿勢で駆け込む女性が自慢の拳
を強く固めて歯を食い縛る。
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