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最終篇第六章 “導かれる魂”
“突破口を追え”
しおりを挟む先陣が其の一手を下した。
背後の五人は感じ取る。
其処に、難敵が立ち塞がっているのだ、と。
「見えはせんが、其処を攻め立てる流れだ。俺は自由の旗手…旗振り役は斃れる事を許されんのだ……ッ!!」
フロウは大槌を振るって、加速する。
「絶技… 進奥・猪武牙ァァ!!!!」
フロウは、ウィルフィンの位置を敵の位置と
仮定し、其処に粘土の大地を拡げた。
そして、ウィルフィンは其処から再び影へと
身を隠す様に撤退を図る。
すると、フロウは跳躍を始める。
影の世界に顕現された猪のオーラと共に闇の
帝王に向けてフロウは大槌の一撃を見舞う。
「此れだけで終わると思わない事ね…」
「行きましょう、アドリー…わたくし達の全力をフロウに続けます……ッ!!」
「絶技… 氷雨空時雨……」
「絶技… 流星群・涙乃雫……ッ!!」
黒白の双嬢が、弓と三叉槍を天に向けて翳し
空色と撫子色のオーラを解放する。
弓から放たれた氷の矢が魔法陣へと呑まれて
消えると其処から雨の様に矢が降り注ぐ。
同じく三叉槍の先から放たれた撫子色の波動
から流れ出す天の川から星型の水流を纏った
流星群がロストに向けて降り注いだ。
連なる連撃にロストの周囲で蠢いていた蛇龍
は呻き声に似た鳴き声を発して其の絶対的な
チカラの奔流に呑まれた。
そして、連撃は未だ終わらないー。
「民の未来の為…俺も行く……」
「そうだ…俺等が譲れなかったのは過程じゃねェ……皆の未来だ…ッ!!」
再び、真打ち登場。
金銀に染まる両者の髪が揺れ、銀色の奏嵐と
金色の雷霆が一気呵成に牙を剥く。
「絶技… 銀狼烈風牙……ッ!!」
「絶技… 雷霆獅子王斬ッッ!!!!」
ノアの疾風の一閃とエルヴィスの雷霆の一撃
がロストに向けて放たれる。
六つの絶技をほぼ同時に浴びせられたロスト
の蛇龍達は天に目を向けて叫び出す。
影の世界に降り立った六人は横一列に並んで
其の戦況の行方を見守ろうとする。
倒れそうになりながらも必死に軋む身体総て
を其の足で支えながら。
其れはそうだろう。
既に限界は超えている。
連戦となり傷だらけの者達には、身体に鞭を
打ってでも戦う使命が在るのだ。
そして、其の想いは形となり、顕現する。
暗黒の球体の中で、起きた六つの絶技の連撃
に依る大爆発の影響が後方にて起きた。
其の暗黒の球体に勢い良くヒビが入って行く
と共にロードを回復させようとするシェリー
の両掌に消え掛けた光が舞い戻ったのだ。
「……閃光のチカラが…戻って来ました…ま、まさか……はわわわわわっ…み、皆様ぁぁ……っ」
潤み出す瞳も其の儘に、閃光のギフトの特性
“治癒”を前面に押し出すシェリー。
そして、暗黒の球体が完全に崩壊を始めた。
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