RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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最終篇第六章 “導かれる魂”

見開いた眼で見るモノ

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「………テメェ等…やってくれたな」



ロストが塵となって消えて行く暗黒の球体の
下で此処に訪れた総ての人間を睨み付ける。



「あ、アレ?ティアさん…?アドリーさん?」


「ポアラさん、どうもっ」


「はぁ…何も見えないって気持ち悪すぎなのね……二度と味わいたくないわ…」



視力が戻ったポアラが両膝を着いた儘、突如
として視界に現れたアドリーとティアに向け
言葉を飛ばすと、ティアは振り返りポアラに
向けてヒラヒラと手を振って見せる。

アドリーは呆れた様に溜息を吐きながら未だ
ロストを見据えた儘でいた。



「フロウ殿…良くぞ救援に来て頂けました。命拾いしましたよ…」


「何を仰いますか、レザノフ殿。本当は御自分で何とか出来たのでは?」



フラリと立ち上がったレザノフが眼前に居た
フロウと笑みを交えて言葉を交わす。



「ウィルフィン…貴方も傷だらけじゃ無いか…」


「……フン。其れで立ち止まる道理は互いに無いのだろう。見ろ…お互い様だ…」



シャーレの言葉に振り返る事も無く当然だと
ばかりに淡々と答えたウィルフィン。



「アカン…何やあちらさん…ちょいとみん間に化け物になっとるやんけ…。ノアさんよ、アレ、どないかせんといかんのかあ?」


「フフ…シグマ。君の胸に聞いて見ると良い。答えは既に出ている筈だ」



視力が戻り、ロストの変化にびっくり仰天の
シグマはノアに問い掛けるが、華麗に奥底を
言い当てられタジタジとなってしまった。



「なあ?シェリー姫…」


「は、はい…っ」


「俺等は未だ戦える。内に秘める闘志が最後の一粒になったとしても只の気力でな。だが、開戦前に結んだ約束があるよな」


「約束……」


「今寝てるソイツがあの男を倒してこそ先に進む物語だ…。筋書きは無いとはいえ、寝てて起きたら勝ってましたじゃ何も格好付かねェだろ……必ずソイツを叩き起こせッ!!」


「お任せ下さいっ!!」



エルヴィスの檄にシェリーが回復の手を一層
早めると「よしッ!」と強く声を発した其の
エルヴィスの横に全員が並び立つ。



「総てを出し尽くせッ!!お前等ァ!!此処が踏ん張り所だッ!!痛みを持って戦うは抗って生きてる証だと思えッ!!!!」



エルヴィスの鬨の声で全員が駆け出す。

標的はロスト、唯一人。

チカラを失ったシャーレ達も、共に其の難敵
を目指してひたすらに前を向く。

其れは、未来への希望。

赤髪の男が、戦場に戻るまでー。

しかし、其の鬨の声に怯む事すら無くロスト
は静かに波動を再び練り上げて行く。

エルヴィス達の前にまた、八本の蛇龍の首が
闇の中から再生され、立ち塞がった。



「誰に何を賭けても無駄だ。総ては無に還る……テメェ等のチカラも奪ってやろう」



特性“暗転”を破ったエルヴィス達の猛攻を前
にしてロストは平静を保ち続ける。

そして、略奪の手が彼等にも伸びて行くー。

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