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最終篇第七章 “夜明けの唄”
“夜明けの刻”
しおりを挟むロードの絶技が決まった。
そして、晴れ行く空を眺めるのは必然。
其れは、闇に覆われていた空に一片すら闇を
残さず打ち消し、青空が広がったからだ。
其の中心には、決して奪い去られ切る事すら
敵わない偉大なる太陽が昇っている。
「………太陽の光……ってちげェよ……アイツはどうなった…?」
ロードは一度、首を横に大きく振り爆煙の中
に消えたロストを目を凝らして探す。
すると、其の中から姿を現す影が一つ。
其の影は、未だ威風堂々と仁王立ちを続けて
ロードへと視線を向けていた。
「って…ニャロウが……どんだけタフなんだよ…マジでバケモンだな……」
ロードは再び強く刀を握る。
しかし、其のロードの動きを背後に立った儘
のレザノフが諌める様に止めた。
「いえ…ロード殿の勝ちです。彼は既に覚醒も消えています…其れに……」
レザノフが手のひらに視線を落とすと周囲の
人間達が一斉に手のひらに目を向け其の言葉
の真意を知る事となった。
「……チカラが戻って来ている…」
「暗黒のギフトのチカラから解放されたってわけねっ…」
シャーレとポアラの言葉にロードはロストへ
視線を向けたままで刀の握りを緩めた。
そして、同時にシェリーとロードは覚醒状態
を解いて、自然体へと戻るのだった。
「バルモアの王女…テメェは言ったな。光と闇は表裏一体だと……其の通りだ。光射す所には必ず闇が浮かぶ……此れだけの戦争だ…至る所に傷を刻み込んだ……」
静かにロストが口を開いて語り出す。
其れをロード達は、ジッと聞き入れる。
「其の傷は復讐と姿を変えて…此の世界に連鎖する……こんな時代だからな…其れが当然なんだ。だが…ロード……」
「……なんだよ?」
「テメェはどんな闇を知り…どんな絶望の底に此の先、堕ちたとしても……今と変わらず前を向け……自分を見失うな……」
「……ロスト…」
「……一緒の筈だった。俺もガズナの為に此の身を捧げ、テメェ等も仲間や民、未来の為に自身を捨ててでも進んで来た……だが、どうも違ったみてェだ……何処かで気付いて居たのかもしれねェ…ガズナが描く未来には……犠牲が余りにも多かった事を……」
ロストがグッと唇を噛んだ。
そして、フラリと背を向ける。
「……だからこそ、かもしれねェ。テメェ等の想いは俺には眩し過ぎた。其の純心に俺のチカラは砕かれたんだ……。見事……テメェ等の勇気という刃……俺に届いたぞ……」
ロストはそう、言い残して去る。
強者の風格を感じさせ、其処に深く刻みつつ
戦場を去る姿も正に、見事、潔し。
多勢に唯一人、立ち向かう様は何を例えても
此の一言だけが、相応しいとも思う。
此の男“無双”、也と。
後に語られしプレジア、時代の変革。
日の出戦争、其の最終戦。
同盟軍ロード、シェリーvs政府軍ロスト
多いなる仲間の援護を受けて、此処に勝者が
眩く照らし出される事となる。
勝者、同盟軍ロード、シェリー。
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