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2章 地下街の秘密基地
8話 家臣の心得
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あるじのセーラー服の後ろの襟が、曲がっていたので、綺麗にすると、
「ありがと」
と。
あるじの、その声はとても凛々しかった。
地下街に入って、あるじの振る舞いは、凛々しさと美しさを増していた。
対外的なあるじの姿なのだろう。
その姿は、学校や職場に急ぐ人々の視線を集め、僕に緊張を強いた。
僕はいざと言うときの逃走経路を確認した。
記憶も土地勘もない場所は、すべてが新鮮で、好奇心を満たしてくれるが、あるじを守る立場としては、不安に満ちていた。
地下街には、地上の鉄道とバスターミナルから、人々が流れてきていた。
僕が注視しなければならない対象は、まだあるじを狙っているかも知れない誘拐犯グプープと、不運なあるじを襲うアクシデントの数々だ。
逆流してくる人の波に、あるじは何度も衝突しそうになった。
あるじの運動神経なら避けられる筈だが、何故かバックや傘や予想外の動きをするスーツケースやキャリーバックが、あるじ目がけて突っ込んでくる。僕は、船の舵を取るように、あるじの腕を掴んで、それらの衝突物を避けた。
しかし、なんちゅう不運な少女だ。
その流れから離れると、石畳を叩いていた人々の足音が消えた。
静かな石造りの地下街は、中世の城郭の回廊を思わせた。
その回廊の先に、小さなクリニックがあった。
「ここよ」
「えっ?」
「うん、私の家臣として、ちょっとした身体検査欲しいのです。
ほら、私は家臣くんが誰なのかも解らないし、
記憶喪失の事も含めて、ちょっと診断してもらおうと思って・・・」
「あるじが言うのであれば・・・。」
開院前のクリニックはまだ薄暗かった。
僕は、桃色の制服を着たナースに、誘われて、診察室に入った。
「じゃあ、私は待合室で待ってるから」
あるじは、来慣れた様子で、待合室に置いてある雑誌コーナーに向かった。
診察室には、白衣の女医が、タブレットで何かを確認していた。
「ああ・・・君が例の・・・」
女医は僕を観察した後、告げた。
「とりあえず血液検査をしてね」
桃色の制服を着たナースは、
ほとんど痛みもなく、採血をした。
「それじゃ、これでうがいをして・・・」
僕は進めれれるままうがいをした。
「じゃあお口を開けてね」
女医は、綿棒の様な物で、僕の頬の内側をこすった。
「これは・・・遺伝子検査ですか?」
「うん、まあ、そんなところ、ところで君は黒い下着は好き?」
女医は、唐突に言った。
僕の小動物センサーが危険を察知した。
女医が、白衣を広げ中の黒い下着を見せた。
レザーではないけど、明らかにその種の雰囲気だ。
「僕はノーマルです!」
「今日まではね」
診察室の出入り口では、二人のナースが、何かの道具を持って、待ち構えていた。
多分!多分!かなり危険な状態だ!
僕が強行突破を試みようと察した女医は、
「穂香に求められて、あなたは満足させられるの?」
「えっ?あるじに求められるって・・・」
「穂香は、姫巫女候補生。雑に扱われては困るの」
「姫巫女候補生?」
「穂香が、あなたを求めるかどうかは解らない。
でも、求められた場合、あなたは穂香を、愛情的にも技術的にも満足してあげなければならないの。
あなたは、穂香を満足させられるの?」
僕は、待合室で待つ由良穂香の気配を伺った。
しかし、無音で何も察する事は出来なかった。
「私たちは、穂香を正しい方向へ導く義務があるの。
これは穂香の家臣としての心得の伝授と、理解して貰えれば、有り難い。」
「家臣としての心得ですか・・・」
僕は、家臣としての心得を伝授され、診察室を出た。
待合室では、少女漫画を読んでいた由良穂香が、顔を上げ、
「検査、意外と長かったね。」
と、あどけない顔して言った。
「検査・・・うん、意外と長かった。」
つづく
「ありがと」
と。
あるじの、その声はとても凛々しかった。
地下街に入って、あるじの振る舞いは、凛々しさと美しさを増していた。
対外的なあるじの姿なのだろう。
その姿は、学校や職場に急ぐ人々の視線を集め、僕に緊張を強いた。
僕はいざと言うときの逃走経路を確認した。
記憶も土地勘もない場所は、すべてが新鮮で、好奇心を満たしてくれるが、あるじを守る立場としては、不安に満ちていた。
地下街には、地上の鉄道とバスターミナルから、人々が流れてきていた。
僕が注視しなければならない対象は、まだあるじを狙っているかも知れない誘拐犯グプープと、不運なあるじを襲うアクシデントの数々だ。
逆流してくる人の波に、あるじは何度も衝突しそうになった。
あるじの運動神経なら避けられる筈だが、何故かバックや傘や予想外の動きをするスーツケースやキャリーバックが、あるじ目がけて突っ込んでくる。僕は、船の舵を取るように、あるじの腕を掴んで、それらの衝突物を避けた。
しかし、なんちゅう不運な少女だ。
その流れから離れると、石畳を叩いていた人々の足音が消えた。
静かな石造りの地下街は、中世の城郭の回廊を思わせた。
その回廊の先に、小さなクリニックがあった。
「ここよ」
「えっ?」
「うん、私の家臣として、ちょっとした身体検査欲しいのです。
ほら、私は家臣くんが誰なのかも解らないし、
記憶喪失の事も含めて、ちょっと診断してもらおうと思って・・・」
「あるじが言うのであれば・・・。」
開院前のクリニックはまだ薄暗かった。
僕は、桃色の制服を着たナースに、誘われて、診察室に入った。
「じゃあ、私は待合室で待ってるから」
あるじは、来慣れた様子で、待合室に置いてある雑誌コーナーに向かった。
診察室には、白衣の女医が、タブレットで何かを確認していた。
「ああ・・・君が例の・・・」
女医は僕を観察した後、告げた。
「とりあえず血液検査をしてね」
桃色の制服を着たナースは、
ほとんど痛みもなく、採血をした。
「それじゃ、これでうがいをして・・・」
僕は進めれれるままうがいをした。
「じゃあお口を開けてね」
女医は、綿棒の様な物で、僕の頬の内側をこすった。
「これは・・・遺伝子検査ですか?」
「うん、まあ、そんなところ、ところで君は黒い下着は好き?」
女医は、唐突に言った。
僕の小動物センサーが危険を察知した。
女医が、白衣を広げ中の黒い下着を見せた。
レザーではないけど、明らかにその種の雰囲気だ。
「僕はノーマルです!」
「今日まではね」
診察室の出入り口では、二人のナースが、何かの道具を持って、待ち構えていた。
多分!多分!かなり危険な状態だ!
僕が強行突破を試みようと察した女医は、
「穂香に求められて、あなたは満足させられるの?」
「えっ?あるじに求められるって・・・」
「穂香は、姫巫女候補生。雑に扱われては困るの」
「姫巫女候補生?」
「穂香が、あなたを求めるかどうかは解らない。
でも、求められた場合、あなたは穂香を、愛情的にも技術的にも満足してあげなければならないの。
あなたは、穂香を満足させられるの?」
僕は、待合室で待つ由良穂香の気配を伺った。
しかし、無音で何も察する事は出来なかった。
「私たちは、穂香を正しい方向へ導く義務があるの。
これは穂香の家臣としての心得の伝授と、理解して貰えれば、有り難い。」
「家臣としての心得ですか・・・」
僕は、家臣としての心得を伝授され、診察室を出た。
待合室では、少女漫画を読んでいた由良穂香が、顔を上げ、
「検査、意外と長かったね。」
と、あどけない顔して言った。
「検査・・・うん、意外と長かった。」
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